イタリア 原子力発電再開法が成立
28 Sep 2026
イタリア議会上院は9月23日、「原子力発電再開に向けた法令整備に関する権限を政府に委任する法案」を賛成81票、反対51票、棄権7票で可決、法案は成立した。国家エネルギー戦略の策定および先進原子力技術の導入を目的とした近代的な規制枠組みの整備が進められる。
同法は政府に対し、12か月以内に発電や燃料管理、既存発電所の廃止措置、放射性廃棄物の管理、さらには核融合技術の開発に至るまで、原子力セクター全体を包括的に規制する施行令を策定するよう義務付けている。法案は、G. メローニ首相およびG. ピケット=フラティン環境・エネルギー安全保障相の提出によるもの。下院では今年6月4日に可決された。
同法案では原子力政策について、2050年までの気候中立の達成、エネルギー安全保障とエネルギー自立の強化、エネルギーシステムのレジリエンス向上、国民や企業のエネルギーコストの抑制といった明確な目標が掲げられている。
特に、従来の大型炉ではなく、小型モジュール炉(SMR)や先進モジュール炉(AMR)などの革新的な原子力技術を対象に、欧州および国際的な最高水準の安全基準に沿って、適切な許認可・規制手続きの下で評価できる体制の構築を重視。原子力分野の再始動にあたり、研究機関、大学、国内産業界の参画により、蓄積された科学・技術面の知見を活用する方針である。さらに、原子力安全、放射線防護、放射性廃棄物の責任ある管理、原子力発電所のライフサイクル全体にわたる必要な資金の確保を求める考え。国民や関係する地域社会に対する情報公開と透明性にも大きな重点を置き、情報提供や意見聴取を行うほか、原子力分野を担う新しい人材の育成や国内産業のサプライチェーンの強化に向けた措置も盛り込まれている。
本法案の可決を受け、メローニ首相は、「ほぼ40年ぶりに原子力でエネルギーを生産するための規制枠組みを取り戻す、勇気ある良識的な選択だ」と評価。現在、近隣諸国の原子力発電による電力を輸入しているが、原子力導入により海外への依存を減らしてエネルギー安全保障を強化するとともに、再生可能エネルギーと組み合わせて、安定した電力供給と脱炭素化を実現していく考えを示した。
ピケット=フラティン環境・エネルギー安全保障相は、原子力の導入時期について「2033年から2034年」の期間を示唆し、再生可能エネルギー、原子力および化石燃料との適切なバランスを取ることで価格を抑えし、競争力のある国にすると述べた。
政府は2024年7月、欧州委員会(EC)に「国家エネルギー・気候計画」(NECP)の最終文書を提出。文書の中で原子力(SMR、AMR、マイクロ炉)と核融合の発電規模は2050年までに約800万kWe(原子力760万kWe、核融合40万kWe)となり、国内の総電力需要の約11%を供給し、さらに最大22%(1,600万kWe)に達する可能性もあると予測。また、原子力を利用した場合、原子力を利用しない場合と比較して、約170億ユーロのコスト削減につながるとともに、気候中立目標の達成に寄与すると推定している。





