エネルギー白書2026 中東危機を総括 「石油危機以来の対策だけでは対応しきれない時代に」
23 Oct 2026
政府は10月23日、2025年度の「エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2026)を閣議決定した。 エネルギー政策基本法に基づく法定白書で、今回が23回目。 2026年2月末に始まった中東危機への対応を第1部の柱に据え、「石油危機以来積み上げてきた対策だけでは対応しきれない事態が起こる時代に入った」と総括した。 対応策として、化石燃料の調達安定化を図り、原子力の活用などGX(グリーン・トランスフォーメーション)の取組みを加速・強化する「パワーGX」も紹介した。
同白書によると、日本の原油輸入の中東依存度は1987年度に67.9%まで下がった後、2024年度には95.9%まで再び上昇した。 一方、一次エネルギー供給に占める石油の割合自体は、1970年代の約70%から2024年度には約35%まで低下している。 政府は2026年3月11日、世界に先駆けて石油備蓄の放出方針を決定。 4月の原油輸入量は前年同月比で60%以上減ったが、原油処理量の減少は同14%にとどまった。 米国などからの代替調達も拡大し、原油処理量は5月以降、前年同月並みとなった。 同白書は、エネルギー源の多角化や省エネルギー、石油備蓄などの政策により、今回は石油危機時のような全国的な節電要請や営業制限といった大規模な需要抑制措置を講じるには至っていないとしている。
一方、同白書によると、日本全体として必要な量は確保できていたものの、ナフサなどの石油製品では流通の目詰まりや供給の偏りが生じた。 同白書はこれにより「日本のエネルギー需給構造の脆弱性が改めて明らかとなった」と指摘した。
パワーGXは、政府が8月に取りまとめた「エネルギー需給構造の強靱化総合パッケージ」の通称。 同白書の概要資料によると、安全性を大前提とした原子力の最大限活用を掲げている。 2040年代に2~5基、2050年代に11~14基という建て替え見通しを踏まえ、次世代革新炉の社会実装に向けた措置を具体化するとしている(既報)。
第1部のもう一つの柱である福島復興では、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉について、2026年1月の1号機の大型カバー設置完了や、3月の3号機の格納容器内調査などを紹介した。 4月に始まった第3期復興・創生期間の5年間は「福島復興の実現に向けた正念場」と位置づけた。
第2部の原子力政策の章では、2026年2月に東京電力柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kW)が発電を開始し、3月時点で全国の計15基が再稼働していることを記した。 政府が4月に「次世代革新炉開発ロードマップ」を策定・公表したことも盛り込んだ。 一方、中部電力浜岡原子力発電所の基準地震動策定を巡る不適切事案については、「安全性に対する国民の信頼を大きく損なうものであり、あってはならないもの」とし、原子力規制委員会による審査停止などの対応に触れた。





