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斗山重工がニュースケール社に追加投資

21 Jul 2021

追加投資の合意書に調印した両社の首脳
©Doosan Heavy Industries & Construction

韓国の斗山重工業は7月20日、米国で小型モジュール炉(SMR)を開発するニュースケール・パワー社への支援を継続するため、国内の投資家らとともに追加で6,000万ドル相当の株式投資を行うと発表した。

この投資により、同社がニュースケール社に納入するSMR用機器の金額は数10億ドル規模に増大する見通し。両社はまた、SMRを使った水素製造や海水脱塩にも協力の範囲を広げており、共同で実施するSMR事業の基盤を強化する。

この日、斗山重工業の朴会長とニュースケール社のJ.ホプキンズ会長兼CEOは、韓国の首都ソウルで追加投資の合意書に調印した。斗山重工業は2019年からニュースケール社への金融投資企業に加わっており、すでに4,400万ドルの株式投資を現金で実行。これに今回の新しい投資が追加され、合計投資額は1億400万ドルとなった。

両社はまた、2019年に「製造コンサルティング・サービス契約」を締結しており、この契約の下で斗山重工業は、原子炉圧力容器の製造に関する専門的知見をニュースケール社に提供している。斗山重工業はその後も、機器の製造試験などをニュースケール社のために実施。米国で最初のSMRを製造するチームの一員として、供給する機器の範囲を鍛造品や圧力容器用の重要パーツなどに拡大し、両社間の協力を長期に継続していく考えだ。

ニュースケール社は、同社製のSMR「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」の開発を開始して以降、1モジュールあたりの出力を徐々に増加。5万kW版のNPMについては2020年9月、原子力規制委員会(NRC)が設計認証(DC)審査で、SMR設計としては初めて「標準設計承認(SDA)」を発給しており、同設計は現時点で米国におけるSMR商業化レースの先頭を走っている。最新NPMの出力はモジュールあたり7.7万kWで、これを12基接続した場合の出力は92.4万kWとなる。

斗山重工業の発表によると、同社はユタ州公営共同電力事業体(UAMPS)がアイダホ国立研究所内で建設を計画しているNPM初号機の建設に参加する予定で、来年にも初号機用の鍛造品製造を開始する。UAMPSはすでに昨年末、ニュースケール社の大株主であるフルアー社とエンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約を締結。2023年に建設・運転一括認可(COL)をNRCに申請し、2025年にこれを取得して建設を開始、2029年には最初のモジュールの商業運転を始めたいとしている。

ニュースケール社のホプキンズ会長兼CEOは、「大規模な製造ラインを持つ斗山重工業の専門能力は、当社のNPM初号機建設計画を進める上で非常に貴重なものだ」と指摘した。斗山重工業の朴会長も、「ニュースケール社に多くの機器を供給することにより、韓国のサプライチェーンにも新たな事業機会と推進力がもたらされる」と強調している。

(参照資料:斗山重工業ニュースケール社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月20日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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