原子力産業新聞

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四国電力伊方3号機が2年ぶりに発電再開

07 Dec 2021

伊方発電所全景(左より、1~3号機)

四国電力の伊方発電所3号機(PWR、89万kW)が12月6日18時、およそ2年ぶりに発電を再開した。2019年12月に定期検査入りした後、2020年1月に広島高等裁判所における運転差止仮処分決定を受け、また、2021年3月には新規制基準で要求されるテロなどに備えた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の設置期限を迎えたことから運転できなくなっていたもの。

2020年2月に四国電力は、広島高裁に対し異議申立てを行い、以降、同機の安全性に係る主張・立証に努め、2021年3月に運転差止仮処分命令取り消しの決定を得た。また、特重施設は10月5日に運用を開始。伊方3号機は、冬季電力需要期を控えた12月2日に原子炉を起動し、発電再開となった。今後、原子力規制委員会による最終検査(総合負荷性能検査)を経て本格運転復帰となる運び。

エリアごとの電力供給予備率(2月)の推移、今冬は過去10年で最も厳しい需給状況に(資源エネルギー庁発表資料より引用)

電力需給を検証する電力広域的運営推進機関が10月にまとめた報告書によると、今冬の四国エリアの電力供給予備率は、全国的に「発電機トラブルへの注意が必要」と警告する2月で3.9%と、安定供給に必要な3%をかろうじて上回る極めて厳しい状況にある。四国電力の長井啓介社長は11月30日の定例記者会見で、伊方3号機の再開に際し「四国における安定供給の要となる基幹電源」との認識を改めて示した上で、「安全かつ安定して運転できるよう全力で取り組む」と述べている。

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