原子力産業新聞

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量研機構とアトックス、頭部専用のヘルメット型PET装置を開発

21 Jan 2022

頭部専用PET装置 Vrain(量研機構発表資料より引用)

量子科学技術研究開発機構とアトックスは1月18日、小型・高性能なヘルメット型のPET(陽電子放出断層撮影、放射性同位体で標識した化合物を人体に投与して画像を得る)装置を開発し製品化したと発表した。〈量研機構発表資料は こちら

PETは、脳の状態(脳血流量、脳酸素消費量など)を調べることによって、脳血管障害、アルツハイマー病などの病態解明に役立っているが、今回の開発成果は、認知症診断への活用を見据えており、頭部検査に特化した装置で、座ったまま検査できることから、被検者への負担が大きく軽減される。

量研機構他によると、世界初となる半球状の検出器配置を採用したことにより、従来型装置(円筒型)と比べて少ない検出器数でありながらも、高画質な撮像を可能とし、「圧倒的にコンパクト」なサイズで、これまでPET設置の十分なスペースがなかった施設へも導入できるとしている。

新型PET完成の記者発表に臨む量研機構・中野量子生命・医学部門長(左)とアトックス・矢口社長(アトックス発表資料より引用)

今回の開発は、放射線医療の技術・知見を有する量研機構が基礎部分(基本設計や検出器開発など)を、原子力発電所メンテナンスのノウハウを持つアトックスが実用化部分(詳細設計やシステム開発など)を中心に担当するという産学連携によって、7年の歳月をかけ実現したもの。

ヘルメット型のPET装置は、「頭部専用PET装置 Vrain」としてアトックスより販売される。

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