原子力産業新聞

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ALPS処理水 IAEAが2回目の安全性レビュー終了

21 Nov 2022

福島第一のタンク群を視察するIAEA一行(資源エネルギー庁発表資料より引用)

福島第一原子力発電所で発生するALPS処理水[1]トリチウム以外の核種について環境放出の規制基準を満たす水の安全性レビューに関し来日していたIAEAのミッションが11月18日、5日間の日程を終了した。ALPS処理水の放出前・中・後にわたり継続的に実施されるIAEAによる安全性レビューは、2月に続き2回目となる。〈資源エネルギー庁発表資料は こちら

今回は、IAEA原子力安全・核セキュリティ局調整官のグスタボ・カルーソ氏を筆頭に7名のIAEA職員と、9名の国際専門家(アルゼンチン、中国、韓国、フランス、マーシャル諸島、ロシア、英国、米国、ベトナム)が来日。一行は、経済産業省、東京電力との会合で、前回レビュー後、4月に取りまとめた報告書で技術的事項として示されている

  1. 横断的な要求事項と勧告事項
  2. ALPS処理水/放出水の性状
  3. 放出管理のシステムとプロセスに関する安全性
  4. 放射線環境影響評価
  5. 放出に関する規制管理と認可
  6. ALPS処理水と環境モニタリング
  7. 利害関係者の関与
  8. 職業的な放射線防護

――についてレビュー。特に、東京電力が11月14日に原子力規制委員会に提出した放出を管理するための組織体制の明確化、処理水中の測定対象核種の改善などを含む実施計画の変更認可申請書について、IAEAの安全基準に基づいて専門的な議論を行った。16日には、福島第一原子力発電所を訪問。希釈放出設備の工事進捗状況などを視察し同社と意見交換を行った。

会見を行うIAEA・カルーソ氏(インターネット中継)

18日にフォーリン・プレスセンターで記者会見を行ったカルーソ氏は、「われわれが作成するレポートはすべて一般に公開される。科学的な評価を行うことで、日本だけでなく、IAEAメンバー各国にとっても安心感を与えるものとなる」と、IAEAが堅持する厳しい国際基準と高い透明性を確保する姿勢を強調。来春に予定されるALPS処理水の放出を前に包括的な報告書を公表する考えを述べた。

脚注

脚注
1 トリチウム以外の核種について環境放出の規制基準を満たす水

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