原子力産業新聞

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原子力委員会でINSOの成果を報告 「成果はメダルにあらず」 

10 Apr 2026

中西康之助

INSOの日本選手団 ©INSO JAPAN Team

原子力委員会は324日の定例会議で、昨年夏にマレーシアのバンギで開催された「第2回国際原子力科学オリンピック(INSO)」について、東京大学の飯本武志教授から報告を受けた。

INSOでは日本代表の高校生4名が全員がメダルを獲得した。

飯本教授は、INSO創設の背景として、IAEAのアジア太平洋地域技術協力プログラム(TCP)において、多くの国で原子力分野の人材育成体制が十分に整っていないという問題意識があったと説明。2010年代前半から中高生向け教育強化の議論が進み、2024年にフィリピン・クラークで第1回大会が開催されたと述べた。その上で、「成果はメダルではなく、原子力の平和利用への理解深化や国際連携の促進、人材育成にある」と強調。参加者には知識だけでなく、コミュニケーション能力や主体的な発信力の向上を期待する考えを示した。

委員からは、全員メダル獲得を評価する声とともに、参加学生の動機が純粋な探究心に基づく点を評価する意見が上がった。

質疑では、今後の継続的な運営に向けた課題についても議論が行われた。委員からは「高いレベルの大会に挑戦する高校生の存在自体が大きな発見」との指摘があり、挑戦を支える仕組みづくりの必要性を問う声も上がった。

これに対し飯本教授は、認知度向上と裾野拡大が課題であり、現状は関係者のネットワークに依存していると指摘。大学や研究機関にとどまらず、民間も含めた展開が必要との認識を示した。

会議には、金メダルを獲得した田中優之介さん(私立東海高等学校3年 ※当時)も出席し、「原子力を知る入り口として取り組みやすく、実物を見ることで理解が深まった」と振り返った。また、海外選手との交流を通じて「多くのつながりが生まれ、大きな財産となった」と述べた。上坂充委員長は、「今回得た経験やネットワークを今後に活かしてほしい」と期待を示し、INSOについて「国際的なネットワーク形成と次世代人材の育成の観点から意義深い」と評価した。

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