日本代表が全員メダル獲得 第2回国際原子力科学オリンピック
06 Aug 2025
2025年7月30日から8月6日にかけ、マレーシアのバンギで開催された「第2回国際原子力科学オリンピック(INSO)」において、日本代表の高校生4名が全員メダルを獲得する快挙を成し遂げた。
金メダルを獲得したのは東海高等学校3年の田中優之介さん。さらに、筑波大学附属駒場高等学校3年の田部主真さんと武蔵高等学校3年の堀航士朗さんが銀メダルを、大阪府立北野高等学校2年の佐々木柚榎さんが銅メダルをそれぞれ獲得した。
また、特別賞として、田部さんが実験試験最高得点賞を受賞し、佐々木さんは最優秀女性選手賞に輝いた。
これらの代表選手は、文部科学省の事業として整備が進められている「未来社会に向けた先進的原子力教育コンソーシアム(ANEC)」が提供するe-learningを通じて、INSOの7つの出題項目を日本語の動画で学び、その後2025年4月に実施された国内選抜会(日本語による遠隔試験)を経て選出された精鋭。選抜後には、専門用語に関する英語訓練を含む集中トレーニングを経て本大会へ参加している。
本大会には、日本チーム出場支援委員会の代表として東京大学の飯本武志先生をはじめ、日本代表団のリーダーとして、京都大学の角山雄一先生と日本原子力研究開発機構の佐藤大樹先生が同行。リーダーたちは、現地で深夜におよぶ問題検討や設問の日本語訳、さらには採点作業(採点をめぐる各国間でのタフな交渉も含む)などを精力的に行った。日本代表団は、受賞の興奮も冷めやらぬまま、本日帰国する。
国際原子力科学オリンピック(INSO)とは、国際原子力機関(IAEA)がアジア太平洋地域の20歳未満の学生を対象に企画した国際競技である。原子力科学技術は発電以外にも医療や農業、犯罪捜査、文化財保護など幅広い分野で活用されており、国連が提唱するSDGsの目標達成にも深く関わっている。INSOでは参加者が理論試験と実験試験を通じて高度な知識や技術を競い、原子力科学の可能性を深く考察し、「原子力科学技術の平和利用に対する認識を高めること」を目的としている。