増井理事長 SMRめぐる日本の役割に言及
02 Jun 2026
日本原子力産業協会の増井秀企理事長は5月29日の定例記者会見で、世界各地で計画が進む小型モジュール炉(SMR)について、日本企業が部品・機器供給や設計面で重要な役割を担っているとの認識を示した。その上で、海外SMRプロジェクトへの参画は日本の原子力サプライチェーン維持につながると評価する一方、技術基盤を将来にわたって維持するためには国内での原子力発電所建設も重要との考えを強調した。
増井理事長は最初に、4月に行われた原産年次大会の総括を行った。今回のテーマ、「原子力の最大限活用を支える人材戦略」を踏まえ、人材の課題に対して、産官学が一体となって取り組むべきものであるという理解を示し、人口減少の局面における省人化技術の必要性について言及した。また、初の取り組みである会員企業による学生支援キャンペーンによって100人を超える学生が年次大会に参加し、これまで以上に活気ある会場であったと語った。
次に、原産年次大会の約1週間後に行われた第41回韓国原子力産業協会年次大会(KAP2026)および国際原子力産業展示会(INEX2026)への参加を報告。原産年次大会と比較して、企業が数多く出展する国際展示会の役割が強く、ロボットやVRを取り扱う企業が多かったと述べた。
その後、「世界の原子力発電開発の動向」に関連して、世界各国におけるSMR開発・導入の動向について説明した。各国のSMRを取り巻く状況や日本企業が関わっているBWRX-300 やVOYGR などが各地で採用されていることに触れ、原子力利用国が約30か国なのに対し、約20か国がSMRについて何らかの検討を進めていることに触れ、その注目度の高さを評価した。
会見後半、記者との質疑応答ではSMRと日本の関わりについての質問が相次いだ。その中で増井理事長は、日本企業が関与している海外のSMR について、短期的な視点と中期的な視点があると言及。短期的な視点としては、日本から部品や機器を供給する機会が増えることで、日本の原子力サプライチェーンの持続可能性向上につながるのではないかと述べた。例としてGE ベルノバ日立製のSMRについて挙げ、計画されている数百億ドル以上の投資額が実現すれば、日本の産業界に大きく貢献する可能性を指摘した。中期的には、海外で運転実績を積んだSMRが日本に逆輸入される可能性に言及した。
また、日本企業のSMRの関わりについては、主要な案件としてBWRX-300(GVH)、VOYGR(NuScale Power)、SMR-300(Holtec International)を挙げ、設計の一部と、部品・機器のサプライヤーとして関わっている現状を説明。一方でその影響について、日本の技術基盤を維持するためには海外案件への参画だけでなく、国内での原子力発電所建設も重要であると訴えた。国が将来の原子力発電の見通しを示す意義についても触れ、国民に分かりやすい形で、いつまでにどの程度必要なのかを示すことは、国民への強いメッセージになるとともに、原子力産業にとっても将来への展望を示すことにつながるとの考えを示した。





