原子力産業新聞

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旧もんじゅサイト 新規炉建設計画が前進

07 Jun 2023

新試験研究炉のイメージ(原子力機構発表資料より引用)

廃止措置が進められている「もんじゅ」のサイトを活用した新たな試験研究炉の建設計画が具体化している。日本原子力研究開発機構は6月2日、文科省の作業部会会合で新試験研究炉の検討状況について説明。熱出力10MW級の中性子ビーム炉を基本案とする概念設計、敷地内の建設候補地における地質調査の進捗状況の他、新試験研究炉が主目的とする中性子利用に関し、「中性子小角散乱装置」、「中性子イメージング装置」など、幅広い産業利用に供する4つのビーム実験装置の設置に係る検討結果を紹介し、「最優先で設置し、新試験研究炉の存在意義のアピールが重要」とした。同機構の新試験研究炉推進室長の和田茂氏は、「最先端の利用をいかに実現するのか、最先端の研究をいかに地元貢献に展開するのか、これらに留意しつつ、関連コミュニティを巻き込んで活動を行う」と強調している。〈原子力機構発表資料は こちら

新試験研究炉の着工・運転開始時期は未定だが、現在、概念設計を終え、許認可に向けて2022年度より詳細設計段階に入ったところだ。原子力機構では、設置許可申請の見込み時期を2024年中に提示する予定。

作業部会の委員からは、今後の設計・運営に向け、産業界のニーズ、人材育成・技術継承における役割、学生や異分野に向けた啓発を考慮する必要性があげられたほか、規制対応や商業炉との対比の関連で、それぞれ「グレーデッドアプローチ」(分類したリスクに応じ最適な安全対策を講じていく考え方)による審査の合理化、メンテナンススケジュールのあり方についても意見が交わされた。

原子力機構、京大、福井大は新試験研究炉の設置に向け5月8日に協力協定を締結(福井大にて、左から福井大・上田学長、京大・湊総長、原子力機構・小口理事長、原子力機構発表資料より引用)

同作業部会は2020年に、新試験研究炉の炉型として、京大研究炉「KUR」の後継、幅広い学術分野での利用や産業分野への発展が見込まれることなどから、中出力炉(熱出力10MW未満程度)を「最も適切」とみて設計を進めていく考え方を示し、中核的機関として、原子力機構(試験研究炉の設計・設置・運転)、京都大学(幅広い利用運営)、福井大学(地元関係機関との連携構築)を選定した。

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