原子力産業新聞

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文科省作業部会、「もんじゅ」サイトを活用した今後の試験研究炉で議論

21 May 2020

試験研究炉のレイアウトイメージ(文科省発表資料より引用)

文部科学省の「原子力研究開発・基盤・人材作業部会」(主査=山口彰・東京大学大学院工学系研究科教授)は5月20日、廃炉となる高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)のサイトを活用した新たな試験研究炉について議論した。

2016年の原子力関係閣僚会議で決定された「もんじゅ」の取扱いに関する政府方針の中で、「今後の原子力研究や人材育成を支える基盤となる中核的拠点」として、新たな試験研究炉の位置付けが示されたのを受け、文科省では2017年度より、利用ニーズ、地理的状況、運営体制などについて調査を進めてきた。

20日の会合では、これまでの調査結果が説明され、建設可能な炉型として、既存の大学試験研究炉に相当する「臨界実験装置+加速器」(熱出力数kW)、「低出力炉」(同500kW)、「中出力炉」(同1万kW未満)の他、国内には例がないが技術的課題をクリアできれば建設が見込める革新的開発炉などが例示され、意見交換を行った。

その中で、京都大学大学院工学系研究科教授の中島健氏は、1964年に初臨界した同学の研究炉「KUR」が2026年を目途に廃止となる見通しを述べ、新たな試験研究炉が「ポスト『KUR』」として研究・教育訓練に寄与することを期待。原産協会の木藤啓子氏は、産業界のニーズや海外との連携の観点から「議論の経過がよくわかるようオープンな形で意見を受け止めながら進めて欲しい」などと要望した。

2019年10月には敦賀市で、立地地域との共生のあり方も含め試験研究炉への期待について話し合うシンポジウムが開催された。地元の立場として同作業部会に参画する福井工業大学工学部教授の来馬克美氏は、「県民から見てもまだよくわからない」として、今後のスケジュールなど、十分な説明がなされる必要性を強調した。

コロナ拡大防止のため委員・傍聴者はPCから「ZOOM会議」で作業部会に参加(記者のPC画面上、議事を進める山口主査)

文科省では、新たな試験研究炉について2020年度中の概念設計、2022年度の詳細設計を目指し、今後作業部会で、具体的な炉型の絞り込みに向けてさらに検討を進めていくが、元東京大学教授の寺井隆幸氏は、これまでの調査結果を振り返り、大強度陽子加速器施設「J-PARC」(東海村)の成果などを例に、「産業界や地方自治体を巻き込んだ共同利用についても踏み込んだ調査を進めて欲しい」と述べた。

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