小笠原村議会でHLWの文献調査について議論 今週末に住民説明会も
11 Mar 2026
日本最東端に位置する南鳥島 ©小笠原村
高レベル放射性廃棄物(HLW)の最終処分を巡り、赤沢亮正経済産業大臣が東京都小笠原村の南鳥島を対象とする文献調査の実施を申し入れたことを受け、小笠原村議会では3月10日、同件に関する質疑が行われた。小笠原村の渋谷正昭村長は、今後の対応について「議員や村民の意見を踏まえ、総合的に判断したい」と述べた。南鳥島で文献調査が実施された場合、北海道寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町に続き全国で4例目となる。
同村では3月14日に父島で、15日には母島で、経済産業省と原子力発電環境整備機構(NUMO)らとともに住民向けの説明会を開催する。
同議会では同日、平野悠介議員が国からの申し入れの経緯について質問。これに対し渋谷村長は、本土出張の際に国から地層処分の必要性や文献調査の内容について説明を受けていたとし、2月9日には南鳥島を対象とする文献調査の実施を小笠原村に説明したいとの要請があったことを明らかにした。その後、3月3日に経済産業省から正式な申し入れがあったという。
渋谷村長は文献調査について、「将来的に候補地となり得るかどうかを確認する最初の段階の調査で、文献のみを用いて東京都(本土)で実施するものであり、いきなり小笠原村の地面を掘削するものではない」と説明した。そして、「文献調査は対話活動の一環として位置づけている」と経済産業省から説明を受けたと語った。
また、今週末に住民説明会が予定されていることから、「説明会が終わるまで自身の考えを表明することは控えたい」と述べ、メリット・デメリットについての見解の表明も差し控える考えを示した。
そして平野議員の「住民説明会だけで十分な説明が果たせるのか」といった質問に対し、渋谷村長は、文献調査の申し入れを受けた直後からSNSなどで様々な情報発信があり「中には誤解が含まれていると感じるものもあった」と述べた上で、村民には地層処分の仕組みや必要性、文献調査の詳細について理解したうえで意見を寄せてほしいとの考えを示した。
渋谷村長によると、小笠原村では情報提供の取組みとして、ホームページへの情報掲載や住民説明会の案内の配布を実施。そして、すでにNUMO担当者が来村しており、「住民説明会の開始前でも住民の質問や意見に対応できる体制を整えている」(渋谷村長)。
また、同日の村議会では、文献調査の受け入れ後に概要調査や精密調査へと段階が進む可能性や、文献調査に伴う自治体電源立地地域対策交付金への同村の依存を懸念する意見も出された。
これに対し渋谷村長は、自身の判断の基本姿勢について言及。広大な海域に複数の島を抱える自治体の首長として、国の政策への貢献も考える必要があるとの認識を示した。また南鳥島については、近年レアアースの話題などで注目されることはあったものの、村民にとっては遠い存在だった側面があると指摘。今回の申し入れを契機に、南鳥島について理解を深め、村民1人ひとりが村の将来像である「心豊かに暮らし続けられる島の実現」を考える契機になってほしいと語った。
一方で、平野議員は、電源立地地域対策交付金が同村の住民の福祉の充実につながる可能性に言及したほか、原子力発電の商用運転開始から60年が経過し、社会のさまざまな活動が原子力による電力に支えられてきた現実を踏まえ、「小笠原村の住民にとっても無関係とは言えない」との考えを示した。そして、HLWの処分問題は「日本国民として避けて通れない課題」であり、社会全体で向き合う必要性を指摘する。一方で、同村として文献調査については、慎重な議論と判断が必要との認識も示した。




