最終処分地選定 進展のカギは「地域の意思決定支援」MRIが提言
28 Apr 2026
三菱総合研究所(MRI)は4月15日、「高レベル放射性廃棄物最終処分地選定への提言 実行性のある選定プロセス構築に何が必要か?」と題したコラムを公表。高レベル放射性廃棄物(HLW)の最終処分地選定プロセス(文献調査→概要調査→精密調査→処分地選定)の実態と課題を明らかにしたうえで、意思決定を地域任せにしない環境整備に向けた方策を提言した。
同コラムは冒頭、現行の最終処分地選定プロセスの制度化から25年以上が経過した現在も、文献調査の実施地点が3地点(※コラム執筆時、現在4地点)に留まっていることに言及。なぜ現行プロセスでは、「文献調査地点が広がらないのか」「選定プロセスが次段階(概要・精密調査)へ進まないのか」の2点を課題に挙げ、停滞状況にある現状を憂いた。
その理由のひとつとして、選定プロセスの進展が実質的に地域の発意や意思決定に委ねられている点にあると記された。国が定めた「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(最終処分法)」では、文献調査の受け入れや次段階への移行には、「国が都道府県知事や市町村長の意見を聴き、これを尊重しなければならない」と定められた規定(尊重規定)が存在し、調査の進展が地域の判断に大きく左右される構造であると指摘した。
無論、この尊重規定は、選定プロセスの可逆性と地域による実質的な拒否権を担保するもので、地域の意向に反して国が一方的に進めることを避けるための規定であるが、同コラムでは、この尊重規定を踏まえつつ、調査地点の拡大とプロセスの進展を進める方策を3点、提言した。
【意思決定を地域任せにしない環境整備に取り組む方策】
①国として積極的な申し入れや意思の提示を行い地域の意思決定の一助とすること
②責任の分担方策の導入と地域インセンティブに関する議論機会の設定
③柔軟性のある調査ステップへの見直し
同コラムでは、この状況を打破するカギは「地域の意思決定の一助」にあるとし、国が主体的に関与し、地域の意思決定を後押しする必要性を挙げた。今年1月、赤沢経済産業大臣が全都道府県知事に対し、処分地選定に向けた調査について「地域任せにすることなく、国の責任で協力を求めていく」とした文書を発出。そして、今年4月、新たに東京都小笠原村での文献調査の実施が決定。同件は、国が主導して地方自治体に文献調査を申し入れ、受け入れが正式に決定した初の事例となり、まさに、国が主導してHLWの処分地選定プロセスを進めていく姿勢の表れであり、一歩前進したと評している。
コラムを執筆したMRIの防災・レジリエンス政策本部の小野寺将規氏と、インフラ・都市政策本部の伊原隼人氏は、南鳥島の特殊性を加味すると、必ずしも後続地域への調査申し入れ・選定プロセスの進展がスムーズに進むとは限らない可能性にも言及する。また、最終処分法における尊重規定は、「概要調査地区等の所在地を定めようとするときは…」と規定されており、文献調査から概要調査、概要調査から精密調査、精密調査から処分地選定、といったタイミングで発生するものだと解釈されると指摘。そのため、今回の小笠原村の事例のように、文献調査申し入れ時、厳密には尊重規定の適用対象外と考えられるため、法令上の観点で構造の変化、大きな影響は無いものと言える。こうした事例を今後、増やしていけるかがカギとなる。
MRIは2点目として、責任の分担と地域インセンティブに関する議論の必要性を指摘。調査受け入れの判断は地域に大きな影響を及ぼすことから、特定の個人や組織に責任が集中しない仕組みが求められるとし、住民や議会などの意見を意思決定の前提に位置付けるなど、地域参画の枠組みを組み込むことを提言した。また、処分場受け入れに伴うリスクを踏まえ、地域振興策などについて国と議論・調整できる場の整備も必要だと訴えた。当該自治体は文献調査で最大20億円、概要調査で最大70億円の交付金を得ることが可能だが、そうした金銭的なインセンティブ以外の提示も重要だと訴えた。
そして第3に、調査ステップの柔軟化を挙げた。現行の3段階の処分地選定プロセスについて、文献調査と概要調査を一体的に扱うなどの見直しを行うことで、より実態に即した情報に基づく判断が可能になるとし、地域の要望に応じた柔軟な運用を検討すべきだと記した。





