原子力産業新聞

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原子力防災会議が女川発電所に係る緊急時対応を了承、感染症対策も

22 Jun 2020

女川地域の原子力災害対策重点区域(内閣府発表資料より引用)

政府の原子力防災会議(議長=安倍晋三首相)は6月22日、東北電力女川原子力発電所を対象とした避難・屋内退避などの防護措置についてまとめた「女川地域の緊急時対応」を了承した。

17日に内閣府の設置による立地地域の防災計画・避難計画を支援する「女川地域原子力防災協議会」(第2回)が開かれ、新型コロナウイルスなどの感染症流行下における防護措置を盛り込み、被ばくによるリスクと感染症拡大によるリスクの双方から住民の生命・健康を守る緊急時対応として、3月に取りまとめた初回版に対し改定が施されたもの。

内閣府は2日に、現下の新型コロナウイルス感染症拡大を踏まえ、「感染症流行下での原子力災害時における防護措置の基本的考え方」を発表。今回の緊急時対応は、同考え方を反映した初めてのケースとなり、避難車両・避難所における感染防止対策の他、自宅での屋内退避を行う場合には「放射性物質による被ばくを避けることを優先して屋内退避を実施し、換気は屋内退避の指示が出されている間は原則行わない」としている。

また、女川発電所が立地する地域の地理的特性から、牡鹿半島および周辺離島部については、海路による避難が想定されることを踏まえ、発電所から概ね5km圏内の「予防的防護措置を準備する区域」(PAZ)に準じた「準PAZ」を設定し、緊急時には放射性物質の放出される前の段階から予防的に避難を実施。津波との複合災害については、「原子力災害に対する避難行動よりも津波に対する避難行動を優先」などとしている。

宮城県では5月、「女川地域の緊急時対応」(初回版)が3月に取りまとめられたのを受け、PAZおよび、発電所から概ね5~30km圏内の「緊急防護措置を準備する区域」(UPZ)における避難計画に関し、避難に要する時間や混雑状況など、シミュレーションによる調査結果を発表した。これに対し、内閣府は「訓練の中で検証し課題解決を図っていく」として、自治体とともに避難計画の改善に努めていく考えを示している。

原子力防災会議に臨んだ安倍首相は、「災害対策に終わりはない」と述べ、今回の緊急時対応について、さらに継続的検証・改善を図っていく考えを強調した。

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