原子力産業新聞

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エネ庁、今冬の厳寒を見据え電力需給状況を報告

19 Jan 2021

12月下旬以降、全国的に厳しい寒さが続くところ、資源エネルギー庁は1月19日、最近1か月間における電力需給・市場価格の状況について、総合資源エネルギー調査会の電力・ガス基本政策小委員会(委員長=山内弘隆・一橋大学大学院経営管理研究科特任教授)に報告した。〈エネ庁発表資料は こちら

それによると、12月下旬から1月上旬にかけて「数年に一度レベル」の非常に強い寒気が流れ込み、電力需要が昨年度同期間と比べて約1割増加したほか、天候不順による太陽光発電の低迷や、LNG在庫減で生じたガス火力発電の稼働抑制も加わり、「全国的に電力需給が厳しい状況となった」としている(=図、資源エネルギー庁発表資料より引用)。特に、西日本を中心に記録的な厳しい寒さや豪雪に見舞われた1月8日は、全国の7エリア(東北、中部、北陸、関西、中国、四国、九州)で、電力需要が、電力需給見通しで想定する「厳冬H1需要」(過去10年間で最も厳寒だった年度並みの気象条件での最大電力需要)を超過。こうした状況下、電力各社では、通常稼働していない高経年火力プラントの稼働や、需給ひっ迫エリアへの広域的な電力融通を図り、安定供給確保に努めている。火力発電の設備利用率は、全国的に寒波が訪れた1月8、12日には90%近くにまで上昇。電力需要の大幅増に伴い、LNG在庫量は大きく減少し、資源エネルギー庁では、ガス会社に在庫が少なくなった電力会社への融通を要請するなどの対応をとっている。また、北東アジア向けのLNG価格も、供給設備トラブルやパナマ運河の輸送船渋滞も加担し、1月初めには、直近の約8か月間で最大およそ18倍となるなど、急騰中(S&P グローバル・プラッツ報道)。

資源エネルギー庁による説明を受け、同委員会の横山明彦氏(東京大学大学院工学系研究科教授)は、電力安定供給に関わるリスク管理の観点から「電源の多様化が極めて重要」と強調した。

現在、国内の原子力発電所は、新規制基準をクリアし再稼働した計9基のうち、九州電力玄海3号機、同川内1、2号機、関西電力大飯4号機の4基のみが運転中となっている(川内2号機、大飯4号機は定期検査に伴う調整運転中)。

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