原子力産業新聞

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原子力機構「JRR-3」が運転再開

26 Feb 2021

JRR-3の建屋外観(原子力機構ホームページより引用)

日本原子力研究開発機構は2月26日、研究炉「JRR-3」(東海村、最大熱出力20MW)が運転を再開したと発表した。同施設は、2018年11月に約4年間の審査期間を経て新規制基準適合性に係る原子炉設置変更許可を取得。その後、建屋の耐震改修工事などを完了し、最終段階となる定期事業者検査に合格となったもの。本格的な供用運転開始は6月末を予定している。〈原子力機構発表資料は こちら

「JRR―3」は、1962年に初の国産研究炉として建設され、日本の原子力の草創期を支える多くの研究活動に寄与。最盛期の2008年度は年間の延べ利用日数(中性子ビーム実験装置数×運転日数)が5,270日にまで達した。旧原研・動燃が統合し原子力機構が発足した2005年度以降は、産業利用が急増。供用実験に占める産業利用の割合は2010年度で約35%となっている。利用分野は、原子炉燃料・材料の照射試験、医療用ラジオアイソトープの製造、シリコン半導体の製造など多岐に及ぶ。2010年11月に定期検査に伴い「JRR―3」は停止。以降、東日本大震災を経て、新規制基準への対応が図られてきたが、中性子利用に係るニーズを受け、2017年に日本学術会議が「大強度陽子加速器施設『J-PARC』だけではとてもすべてをカバーできるものではなく、研究炉の役割は非常に大きい」との提言を発表するなど、産業利用のツール、人材育成の場として、早期の運転再開が求められていた。

原子力機構は、「JRR-3」の運転再開により「多彩な研究者・技術者が集まる科学探求・イノベーション創出の場を提供できる」と期待を寄せ、「安全確保の徹底を大前提に、立地地域の皆様の理解を得ながら、研究開発を通じて地域・社会に貢献できるよう取り組んでいく」としている。

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