原子力産業新聞

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総合エネ調原子力小委、核燃料サイクルについて議論

22 Mar 2021

原子力発電プラント再稼働の状況とプルサーマル(電事連発表資料より引用)

総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会(委員長=安井至・バックキャストテクノロジー総合研究所エグゼクティブフェロー)は3月22日、核燃料サイクル、最終処分、廃炉について議論した。〈資料は こちら

エネルギー基本計画の見直しに資するべく約2年ぶりに再開した前回の会合で、同小委員会は原子力政策の課題と方向性を、(1)安全性の追求、(2)立地地域との共生、(3)持続的なバックエンドシステムの確立、(4)原子力発電の事業性向上、(5)人材・技術・産業基盤の維持・強化と原子力イノベーション――に整理。その中で、40年超運転が立地地域に与える影響などを踏まえ、国、自治体、事業者らが参画する「立地地域の将来像を議論する場」の創設が提案された。

今回会合で、資源エネルギー庁より、福井県における「立地地域の将来へ向けた共創会議」を設置し、(1)原子力関連の研究・産業、(2)新たなエネルギー・環境産業、(3)今後の地域環境の変化を踏まえた新たな産業・地域振興や暮らし生活――といったテーマを柱に検討を進めていく考えが示され、福井県知事の杉本達治氏は、「当事者として前向きの意見を述べていく」などと述べた。

核燃料サイクルに関する議論では、まず、資源エネルギー庁が取組状況を説明。電気事業連合会による「2030年度までに少なくとも12基の原子炉で」とする新たなプルサーマル計画の発表など、今後の進展を見据え、使用済MOX燃料の再処理技術を2030年代後半目途に確立すべく、2021年度以降、(1)使用済MOX燃料と使用済ウラン燃料を混合再処理する技術、(2)廃液から半減期の長い物質を分離する技術――の確立に向け、官民連携で研究開発を加速化するとした。

バックエンドに係る取組も含め、事業者からは、電事連原子力開発対策委員長の倉田千代治氏、日本原燃社長の増田尚宏氏、原子力発電環境整備機構理事長の近藤駿介氏が説明。

委員からは、六ヶ所再処理工場しゅん工時期の延期に伴うコスト面での懸念、クリアランス物再利用の科学的安全性に係る国民理解やビジネス化に一層取り組むべきとの意見があった。

また、最近発表された日本原子力文化財団による世論調査の結果に関し、「『国民の約4割しか、原子力は発電の際にCO2を出さないことを知らない』という事実を押さえるべき」、「立地地域と消費地域を分けて分析するなど、もう少し深く検討していくべき」などと指摘された。この他、風評被害対策に関して「社会学の専門家も交えて議論を」、昨今の核セキュリティに係る事案発生に鑑み「現場の士気が損なわれぬよう外部支援も必要では」といった声もあった。

原子力小委員会は、次回会合で人材育成について議論する予定。

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