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エジプト初の原子力発電所となるエルダバ発電所で3、4号機の建設許可申請

17 Jan 2022

エルダバですでに着工した建設支援用建屋 ©ENRRA

エジプト初の原子力発電設備となるエルダバ発電所の建設工事を請け負ったロシアのロスアトム社は1月12日、同発電所3、4号機(各120万kWのロシア型PWR:VVER)の建設許可を、エジプト原子力発電庁(NPPA)が昨年12月30日付で同国の原子力・放射線規制機関(ENRRA)に申請したことを明らかにした。

この建設プロジェクトについては、2021年6月末にNPPAが1、2号機(各120万kWのVVER)の建設許可を申請済みだが、現時点で同許可はまだENRRAから発給されていない。ロスアトム社は今回、「これらの建設許可が下り次第、エルダバ原子力発電所の本格的な建設工事を開始する」と明言しており、すでに2021年7月からは4基の着工に備えて機器の製造を開始している。また、これら4基の2次系建屋等の建設契約締結に向け、今月2日にロスアトム社の単独交渉対象者に選定された韓国水力・原子力会社(KHNP)によると、同プロジェクトでは今年中に初号機を本格着工、2028年の営業運転開始を目指すとしている。

エジプトでは急速な人口の増加と産業活動の活発化により、電力需要が急増している。停電のリスクを避けつつ需要の増加に対応するため、エジプト政府は発電設備の多様化を含めた意欲的なエネルギー計画を策定。CO2を排出せずに低価格な電力を供給可能なエルダバ原子力発電所は、同国のエネルギー計画の要になると見られている。

エジプト政府は2015年11月にロシアと、エジプト初の原子力発電所建設プロジェクトに関する2国間協力協定(IGA)を締結しており、翌2016年5月にはロシア政府から最大250億ドルの低金利融資(年3%)に係る大統領令を公布。これに続いて、両国政府は2017年12月、エジプト北部のエルダバ(首都カイロから西に約320km)で4基のVVERを建設する内容の契約書に調印した。2019年3月には、ENRRAがNPPAに対し4基分のサイト許可を発給。以降の許認可についてはユニット毎に審査する方針である。

両国が同プロジェクトでこれまでに交わした一連の契約によると、ロシアは原子力発電所の建設に加え、各原子炉に装荷する60年分の燃料を供給。エジプト側の人材育成についても教育訓練を実施するほか、運開後の10年間は運転・保守(O&M)を支援する。使用済燃料の中間貯蔵施設もエジプト国内で建設する。

(参照資料:ロスアトム社KHNP社(韓国語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月12日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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