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スロベニアで使用済燃料の深掘削孔処分は重要オプションとの調査結果

18 Jan 2022

スロベニアのTRIGA II研究炉 ©Jožef Stefan Institute

使用済燃料と高レベル放射性廃棄物を地層処分する技術の開発と事業化を世界中で展開している米国のディープ・アイソレーション社(Deep Isolation Inc.)は1月13日、スロベニアの原子力発電所や研究炉から出る使用済燃料の処分方法として、深掘削孔処分(DBD)は最も安全でコスト面の効果も高いとの調査結果を発表した。

同社はすでに昨年12月、ノルウェー原子力廃止措置機関(NND)の委託により、スロベニア唯一の原子力発電所であるクルスコ発電所(PWR、72.7万kW)の使用済燃料、および欧州放射性廃棄物処分場開発機構(ERDO)に所属するスロベニア、ノルウェー、デンマーク、オランダ、クロアチアが保管している中・高レベル長寿命放射性廃棄物の処分オプションとして、DBDの予備的な実行可能性調査の結果を公表している。今回はスロベニア放射性廃棄物管理機構(ARAO)の委託を受け、同国で2043年に閉鎖が予定されている「TRIGA II型研究炉」の使用済核燃料等の廃棄物についても、同様のDBD調査を行ったもの。

ディープ・アイソレーション社はこれら2つの調査結果から、ERDO所属の5か国が中・高レベル長寿命放射性廃棄物や原子力発電所等の使用済燃料を処分する際の重要な代替オプションとして、また、従来の大型処分場に追加するオプションとして、DBDは多くの恩恵をもたらす可能性があり実行も可能、かつコストのかからない方法だと結論づけている。

同社が開発したDBDでは、多くの地層で使用されている既存の特許技術と傾斜堀の技術を組み合わせており、深地層の適切な岩石層に孔を掘削して使用済燃料と長寿命廃棄物を定置・隔離する。同社によれば、ERDOの5か国のように廃棄物の保管量が少ない国からは、コスト面や取り扱いの簡便さという点から特に多くの関心が寄せられている。大規模な処分場建設と比較して、掘削地点の選定で高い柔軟性があるほか、短期間で実行することが可能、財政的なリスクも小さいとしている。

同社はまた、スロベニアがクルスコ発電所の使用済燃料処分でDBDの採用を決定した場合、TRIGA炉の廃棄物処分では同じ処分孔に新たなキャニスターを1つ追加するだけで済むため、処分方法としては最も簡便かつ廉価になると指摘。また、別の方法としては、TRIGA炉の廃棄物用に「極小処分場」の受け入れ自治体を選定し、小さいスペースに孔を一本だけ掘削してすべての研究廃棄物を処分することになる。

いずれにしても、クルスコ原子力発電所の使用済燃料処分でスロベニア政府が従来式の処分場を建設、あるいはDBDを選択した場合、こうしたプロジェクトは国家の処分場を建設する草分け的存在として、幅広い研究開発や実証、サイト特性調査などの点で貴重な貢献をもたらすと同社は強調している。

(参照資料:ディープ・アイソレーション社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月13日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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