高速実験炉「常陽」 RI製造などにも活用へ
19 Aug 2025
文部科学省の諮問機関である科学技術・学術審議会原子力科学技術委員会は8月18日、革新炉の取組や原子力基礎研究支援の在り方について議論する「第26回原子力研究開発・基盤・人材作業部会」を開催した。
まず、革新炉の取組について、日本原子力研究開発機構(JAEA)から、高速実験炉「常陽」の現在の状況説明が行われた。「常陽」は、「高速炉」を開発するための小型の実験炉である。事業者のJAEAは昨年9月、茨城県及び大洗町から地元了解を得て、現在、新規制基準に適合するための工事を行っている。2026年度半ばの運転再開を目指しており、実現すれば、国内唯一の高速炉の実験施設として、放射性廃棄物の有害度を低減する研究や、がん治療への活用が期待される医療用RIの製造実証など、さまざまな活用方法が期待されている。
同作業部会に委員として参加した日本原子力産業協会の上田欽一委員は、「国内外との連携を強化して、世界最先端の高速炉研究拠点としての役割を発揮してほしい。また、医療用RIの安定供給や先端利用など、社会的価値の高い活用に向けて、学生や若手研究者の関心を高め、研究開発や人材育成を強化する必要がある」と指摘した。
また、原子力基礎研究支援の在り方について同作業部会では、原子力をエネルギー源として利用するだけでなく、様々な課題解決につながる総合科学技術として捉える必要性が示され、2050年のカーボンニュートラル実現や、健康・医療、製造業等の産業競争⼒の強化に繋がる可能性を秘めていることが改めて共有された。そして、これまで⼤学・研究機関等を中⼼に、⾼い研究⽔準を維持してきたが、さらに安定的・継続的に原⼦⼒利⽤を推進させていくために、国として中⻑期にわたり支援する必要性が議論された。