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チェコの国営電力、テメリン原子力発電所の燃料調達で米仏の2社を選定

18 Apr 2022

テメリン原子力発電所 ©CEZ

チェコの国営電力(CEZ)会社は4月12日、保有するテメリン原子力発電所(100万kW級のロシア型PWR=VVER-1000×2基)の燃料調達先について入札を実施した結果、米ウェスチングハウス(WH)社と仏フラマトム社の2社を最終的に選定したと発表した。

現在の調達先であるロシアのTVEL社との契約が2023年末に満了するのに先立ち、CEZ社は2020年4月に新たな調達先の選定で入札を開始。これに参加したTVEL社、WH社、およびフラマトム社の3社のうち、調達先を多様化する観点から米仏の2社を選んだもので、両社は2024年から約15年にわたってテメリン発電所に燃料集合体を供給する。CEZ社は総額で数10億コルナ(10億コルナ=約56億円)というこの契約で、「将来的に燃料供給が途絶するリスクを最小限に抑えることができる」と強調している。

WH社は様々な原子炉設計に対応した燃料を製造中で、VVERが稼働するテメリン原子力発電所用としては、CEZ社と1993年に締結した契約に基づく最初の燃料集合体が、2000年7月にテメリン1号機に試験装荷された。同社はその後、ウクライナのVVER-1000向けに製造した「堅固なWH社製燃料集合体(RWFA)」をテメリン発電所用に改造。スペーサー格子の数を削減するなどしており、2016年2月にはRWFAの「先行試験用燃料集合体(LTA)」を6体納入する契約をCEZ社と締結した。CEZ社は2019年4月、約3年に及んだ燃料の許認可手続きを終え、テメリン1号機でLTAの試験を実施すると発表している。

今回の入札結果について、CEZ社は両社がともに世界の原子力産業界のリーダー企業であるとした上で、「スウェーデンに燃料製造工場を持つWH社は、すでにテメリン発電所に燃料集合体を供給した実績があるほか、世界中の原子力発電所用に主要機器を製造。原子力分野で60年以上にわたって設計・建設・維持管理等のサービスで経験を重ねている」と指摘した。

また、フラマトム社に関しては「欧州連合(EU)唯一の燃料製造企業として、西欧諸国の原子力発電所の大部分に燃料を供給している」と説明。原子力発電所の設計や機器の製造と設置、原子燃料の製造、および計装・制御(I&C)系の供給等で60年以上の実績があると強調している。

なお、ロイター通信によると、チェコのP.フィアラ首相は4月9日、与党の党大会で「ロシアからの輸入化石燃料に依存し続けることは、我が国の安全保障上、最大リスクの一つだ」と発言。「チェコのエネルギー部門は、今後5年以内に『ロシアの引き綱』を完全に断ち切ることを目標にすべきだ」と述べたことが伝えられている。

(参照資料:CEZ社WH社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの4月13日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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