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韓国水力・原子力会社がポーランドに6基の「APR1400」建設を提案

26 Apr 2022

ポーランド政府とKHNP社の代表団 ©KHNP

韓国水力・原子力会社(KHNP)は4月22日、ポーランドが進めている大型原子力発電所の導入計画に対し、韓国製の140万kW級改良型PWR「APR1400」を6基(合計840万kW)建設する事業提案書を提出し、受注に向けた本格的な活動を開始したと発表した。

ポーランドでは2021年2月、内閣が「2040年に向けたポーランドのエネルギー政策」を正式決定しており、改訂版の「ポーランドの原子力開発計画」では、2043年までに約100万kWの原子炉を6基、合計600万~900万kW建設することを計画。出力100万~150万kWの初号機を2033年までに運転開始した後、2年おきに残りの5基を完成させていくとしている。

また、同国の国営エネルギー・グループ(PGE)が設立した原子力事業会社のPEJ社(=Polskie Elektrownie Jądrowe)は昨年12月、同国初の原子力発電所サイトとして、バルト海に面した北部ポモージェ県内のルビアトボ-コパリノ地区を選定。今年3月末には、同地区の環境影響評価(EIA)報告書を環境保護総局(GDOS)に提出した

ポーランドのこのような計画について、米国のウェスチングハウス(WH)社とフランス電力(EDF)はすでに個別に参加の意思を表明している。WH社は、米国とポーランド両国の政府が締結した「(ポーランドの)民生用原子力発電プログラムに関する政府間協力協定(IGA)」の2021年3月の発効、および米貿易開発庁(USTDA)による支援などを背景に、ポーランドへの技術移転も含めた包括的投資構想を策定中である。一方、EDFは2021年10月、ポーランド政府に対し、2~3サイトで4~6基(660万~990万kW)のフラマトム社製・欧州加圧水型炉(EPR)の建設を提案している。

KHNP社の今回の発表によると、同社のナム・ヨシク副社長兼成長事業本部長率いる代表団が現地時間の21日、ポーランドで原子力発電所の導入事業に携わる気候環境省を訪問。同省のA.ギブルジェ-ツェトヴェルティンスキ次官、およびP.ナイムスキ戦略エネルギー・インフラ特任長官と会談した。

その際、韓国・産業通商資源部(MOTIE)のムン・スンウク長官からの書簡を手渡しており、代表団はポーランドの原子力発電開発計画に沿って、2033年までに初号機が運転開始できるよう競争力のある価格で建設を進めると提案。「APR1400」に関しては、欧州の電力企業15社が定めた安全基準「欧州電気事業者要件(EUR)」や米原子力規制委員会(NRC)の安全要件など、国際的に最も厳しい安全基準を満たしていると説明した。代表団はまた、KHNP社が優れた事業管理能力や独自の優れた技術を保有していると強調。ポーランドのプロジェクト受注に向けた資金調達面も含め、韓国政府が同社を全面的に支援していることを伝えた。

同社はこのほか、ポーランドでこれまでに開催した「韓国とポーランドの原子力発電フォーラム」や、両国企業間の「B2Bビジネス会合」、「APR会議2019」の模様を紹介。その際、ポーランド企業と結んだ多数の了解覚書を通じて協力関係をすでに構築済みであり、KHNP社はそれらを基盤にポーランド企業と協力して同国の原子力開発計画を進めていくと強調している。

(参照資料:KHNP社(韓国語)ポーランド気候環境省(ポーランド語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの4月25日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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