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COP27が開幕 途上国支援など課題山積

09 Nov 2022

演説するルワンダのカガメ大統領 ©︎ルワンダ大統領府

国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)が11月6日、18日までの日程で、エジプト屈指のリゾート地シャルム・エル・シェイクで開幕した。

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)は現在、経済規模や資源の有無など全く成り立ちの異なる198か国が批准している。COPの採決は全会一致が原則であり、当然ながら国家間の利害対立が極めて大きく、毎回合意文書の取りまとめは難航している。

昨年のCOP26(英国)では、世界の平均気温の上昇を1.5度までに抑える努力を各国が追求することで合意したが、国連が先月27日に発表した報告書は、現状の各国による温室効果ガス(GHG)削減目標では、目標達成は難しいと結論。今後、より具体的なGHG削減対策が打ち出せるかが課題となっている。

首脳級会合でホストとして各国首脳を迎えたエルシーシ・エジプト大統領は、温暖化対策に向けた「具体的かつ効果的なアクション」を訴えると同時に、ウクライナ紛争の早期終結を強く呼びかけた

7−8日には首脳級会合が開催され、国連のグテーレス事務総長は「1.5度の気温上昇を抑制するには、2050年までにGHG排出ネットゼロを達成しなければならないことは、サイエンスによって明らかになっている。しかしその目標は今やヨロヨロの状態で、崩れ去ろうとしている」と強い危機感を表明。「気候変動の地獄へ向かう一本道で、アクセルに足をかけている」と強調し、各国首脳に改めて結束を呼びかけた。

100か国以上の首脳が参加した首脳級会合では、最近のパキスタン大洪水など世界各地で干ばつや洪水など異常気象が続く中、「損失と損害(loss and damage)」をテーマに、GHGを大量に放出する先進国から途上国に対する補償が議論された。

ガーナのアクフォ=アド大統領は「アフリカは気候変動を引き起こす活動をほとんどしていないにもかかわらず、若者が多大な被害を受けている」を訴え、ルワンダのカガメ大統領も「先進国がなせる価値ある貢献とは、自国の排出量を早急に削減すると同時に、アフリカに持続可能なグリーン電力を導入することだ」と強く要求するなど途上国の首脳からは深刻化する気候変動災害への資金支援を求める声も相次いだ。

ドイツのショルツ首相 ©︎独連邦政府

これまで先進国は全体で、途上国への気候変動対策として年間1000億ドルの資金支援を行う目標を掲げたものの、未だ達成できていない。今回の首脳級会合でも、独自の追加支援策として、ドイツのショルツ首相が1億7000万ユーロ、英国のスナク首相も15億ポンドの拠出を表明したが、目標額には遠く及ばない現状だ。今後の会期中に、先進国がどこまで歩み寄るのかが注目される。

昨年のCOP26では例年以上に原子力に関する議論が活発に行われた。今回も、国際原子力機関(IAEA)が中心となって原子力パビリオンを設置するなど、ネットゼロ世界の実現に向けた原子力の貢献を訴求する予定だ。

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