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米輸出入銀行 ルーマニアのチェルナボーダ3、4号機完成計画に融資提案

11 Nov 2022

COP27の米国パビリオンで行われたLOIの引き渡し式 ©US EXIM

米国の輸出入銀行(US EXIM)は11月9日、ルーマニアで建設途中のチェルナボーダ3、4号機(各カナダ型加圧重水炉=CANDU炉、70.6万kW)を完成させる計画に、米国側からプロジェクト準備等のサービスを提供する契約について、合計で最大30億5,000万ドルの融資を提案する2件の意向表明書(LOI)を発出した。

3、4号機の建設工事は、1989年のN.チャウシェスク政権崩壊により、それぞれの進捗率が15%と14%の状態で停止している。同国の国営原子力会社(SNN)は2009年、プロジェクト運営企業のエネルゴニュークリア(EN)社を設立して欧州企業6社から出資を募ったものの、経済不況等によりこれら企業はすべて撤退。2015年には、中国広核集団有限公司(CGN)がこの計画に協力するとしてSNN社と覚書を交わしたが、その後に米国とルーマニアの協力関係が進展したことから、CGNとの協力は2020年1月に打ち切られている。

SNNの今回の発表によると、2件のLOIのうち1件はプロジェクト準備の一環で米国から提供する技術サービスの契約に、US EXIMが最大5,000万ドルを融資するというもの。2件目は3、4号機の完成に向けたエンジニアリング・サービスとプロジェクト管理の提供契約に、最大30億ドルを支援する内容だ。 

US EXIMは政府系の輸出信用機関として、米国企業の輸出事業促進を目的に低金利融資を提供。今回の案件は、米国が両炉の完成を支援するとともに、ルーマニアの民生用原子力発電部門の拡充と近代化等に協力するため、2020年10月にルーマニア政府と原子力分野の政府間協定(IGA)に調印したことに基づいている。US EXIMはその際、原子力も含めたルーマニアのエネルギーインフラ開発プロジェクトに最大70億ドルの財政支援を行う意向を表明しており、そのための覚書を同国の経済・エネルギー・ビジネス環境省と締結していた。

このような合意に基づいて、今回のLOIはエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されている第27回・国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)の場で、US EXIMのR.ルイス総裁がルーマニア側に正式に手渡した。これには米国のJ.ケリー気候問題担当大統領特使のほか、ルーマニアのK.ヨハニス大統領やエネルギー省のV.ポペスク大臣などが出席している。

SNN社によると、チェルナボーダ3、4号機の完成計画は2021年4月に承認された同社の戦略に沿って3段階で進められる。2021年末を起点とする現在の第一段階では、プロジェクト運営企業のEN社が24か月計画で準備作業を進めており、建設工事の再開に必要なエンジニアリング文書や安全関係文書の作成と改訂を実施する。EN社はこの関係で2021年11月、CANDU炉の設計・供給と関連サービスの提供を専門とするカナダのCANDUエナジー社と契約を締結。準備段階のエンジニアリング・サービスを受けることになった。

また、第二段階では最大30か月をかけて予備作業を実施する。具体的には、プロジェクトを明確に確定するためのエンジニアリング作業やプロジェクトの適切な実施契約締結に向けた協議、安全性関連の建設許可取得、技術面と経済面の最新指標に基づくプロジェクトの実行可能性の再評価、建設工事の実施を決める最終投資判断(FID)などを挙げている。

最後の第三段階で、実際の建設工事を開始する方針。3、4号機の起動および営業運転の開始はそれぞれ、2030年と2031年を予定している。

(参照資料:SNN社US EXIMの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月9日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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