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「華龍一号」の防城港3号機が初併入

12 Jan 2023

防城港3号機 ©CGN

中国核能行業協会(CNEA)によると、中国広核集団有限公司(CGN)の「華龍一号」設計を採用した防城港原子力発電所3号機(PWR、118万kW)が1月10日、送電を開始した。

中国では現在、52基、約5,400万kWの原子炉が営業運転中のほか、小型の高温ガス炉(電気出力21.1万kW)を含めた2基が試運転中。2022年12月に初臨界を達成した防城港3号機は、これらに続く原子炉となる。

第3世代のPWR設計である「華龍一号」は、CGNと中国核工業集団公司(CNNC)、双方の第3世代炉設計を一本化して開発したもの。2015年12月に本格着工した防城港3号機は、CGN版「華龍一号」の初号機であり、その一年後に着工した同4号機(PWR、118万kW)とともに、CGN版設計の実証プロジェクトに位置付けられている。CNNC版の「華龍一号」はすでに2021年1月と2022年3月に、福建省の福清5、6号機として営業運転を開始。パキスタンのカラチ原子力発電所でも、2021 年5月以降に2基が営業運転中となっている。

CGN版については、広西省・防城港の2基に続いて浙江省の三澳原子力発電所1、2号機、および広東省の太平嶺原子力発電所1、2号機にも採用され、建設工事が行われている。

中国国外では、2015年10月にCGNが英EDFエナジー社のヒンクリーポイントC原子力発電所建設計画に33.5%出資することを約束した際、ブラッドウェルB原子力発電所としてCGN版「華龍一号」を建設することでEDFエナジー社と合意。これにともない、英国仕様の「華龍一号」である「UK HPR-1000」について包括的設計審査(GDA)が行われ、2022年2月に原子力規制庁(ONR)から「設計承認確認書(DAC)」が、環境庁(EA)からは「設計承認声明書(SoDAC)」が発給されている。

同設計はまた、欧州の電力企業16社が定めた安全基準「欧州電気事業者要件(EUR)」に適合していると2020年11月に承認された。EURへの適合は、EU(欧州連合)市場への輸出に際し、「設計標準」の一つに認定されたことを意味している。

防城港原子力発電所にはCGNと広西投資集団公司がそれぞれ61%と39%出資しており、CGNは同発電所で最終的に、6基、600万kWの原子炉建設を計画。第2世代改良型の「CPR1000」を採用した1、2号機(各PWR、108.6万kW)は、2016年から営業運転中である。6基揃うと年間約480億kWhが供給可能となり、約3,974万トンのCO2排出量を抑制できるという。

(参照資料:中国核能行業協会の発表資料(中国語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月11日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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