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モホフチェ3号機が送電開始 スロバキア

03 Feb 2023

モホフチェ原子力発電所 ©Slovenské elektrárne

スロバキアで5基目の原子力発電所となるモホフチェ3号機(PWR47.1kW)が131日、定格出力の20%で国内送電網に初めて接続し、発送電を開始した。

同機はスロバキアで約20年ぶりとなる新規炉で、スロバキア政府が34%出資する電力最大手のスロバキア電力(SE)が所有/運転している。20228月に規制当局から運転認可を取得した後、9月に燃料を装荷。同年10月に初臨界を達成し、その後は出力520%の様々なレベルで、タービン復水器や低圧熱交換器、給水系、蒸気発生器などの試験を行っていた。今後は出力35%100%で第2段階の試験を実施し、設計通りのパラメーターを実証。最後はフル出力で144時間の連続運転を行った後に、営業運転へ移行する。

同国では、モホフチェとボフニチェ2つの原子力発電所で出力50kWのロシア型PWRVVER)が2基ずつ稼働中。これら4基で総発電量の50%以上を賄っており、原子力は同国の基幹電源に位置付けられている。モホフチェ3号機の建設工事は、同型の4号機とともに19871月に開始されたが、格納容器がない第2世代のVVER設計であるため、安全性の改良とそれにともなう資金調達問題等で1992年から2008年まで建設工事が中断した。両炉の主要機器は最終的に、原子炉系とタービン系ともにチェコのスコダ社が供給する一方、計装制御(I&C)系は仏アレバ社と独シーメンス社、原子炉系の電気機器・システムはスロバキアのPPA社、その他の機器はロシアのアトムストロイエクスポルト(ASE)社や英国のロールス・ロイス社が供給する。

SE社によると3号機の送電開始は、同社がスロバキア政府に約束した「1,000kWhあたり61.2077ユーロ(約8,540円)」という低価格の発電を実現する上で有効。これは、欧州連合(EU)域内の一般家庭向け価格としては非常に安いレベルであり、新しい原子炉はスロバキアのエネルギー安定供給に貢献するとともに、CO2の排出量も大幅に削減して実質ゼロ化への道を拓くと強調した。

同炉はまた、スロバキアにおける総電力消費量の約13%を賄うことから、同国では今年からエネルギーの自給が可能になる。34号機がともに完成した場合、SE社は年間で少なくとも500万トンのCO2排出を抑えることが出来ると予想。これら2基はそれぞれ、少なくとも60年間の稼働が見込まれている。

このほか、同国の市場調査機関であるACRCが、SE社およびスロバキア外交政策協会(SFPA)からの委託で20226月から7月にかけて実施した世論調査によると、スロバキアでは10人中7人までが原子力を支持すると回答。最大60%の国民が、「原子力は安全な発電技術」と考えていることが明らかになっている。

(参照資料:スロバキア電力の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA21日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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