原子力産業新聞

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米国企業、オクロ社と電力購入契約へ

18 Apr 2024

桜井久子

©Oklo

米国で先進炉開発を進めているオクロ社は48日、米国独立系石油ガス開発会社のダイヤモンドバック・エナジー社と長期の電力購入契約(PPA)に関する基本合意書(LOI)を締結した。また、データセンターサービス業の米エクイニクス社とも米国内のデータセンターへの電力供給取引でLOIを締結した。

テキサス州を拠点とするダイヤモンドバック社と締結した拘束力のないLOIでは、同社のテキサス州とニューメキシコ州にまたがるパーミアン盆地における石油ガス開発事業に、信頼性の高い、ゼロエミッション電力を供給するため、オクロ社製のマイクロ炉「オーロラ(Aurora)」を利用し、20年間のPPAを締結する意向などが盛り込まれている。契約条件によると、オクロ社はテキサス州ミッドランド近郊にある、ダイヤモンドバック社の完全子会社であるダイヤモンドバックE&P社に対し、電気出力5kWの発電所の許認可手続き・建設・運転を行う予定だ。

LOIでは、電力購入契約の20年間の更新オプションが記載されている。「オーロラ」の設計では40年間運転可能であり、オクロ社の建設・所有・運転のビジネスモデルにより、ダイヤモンドバック社のような将来性のある顧客が、複雑な所有権の問題や資本要件なしに電力購入が可能になるという。

「低コスト、高信頼性、ゼロエミッションのエネルギー源の開発と供給により、当社はダイヤモンドバック社のような事業者の増大するエネルギー需要に応えていく」と同社のJ.デウィットCEOは語る。

また、オクロ社は、20237月に発表された株式公開計画の一環として、アルトC・アクイジション(AltC Acquisition Corp)社との合併を進めているが、アルトC社が42日に米証券取引委員会に提出した書類によると、オクロ社は216日、米エクイニクス社と最大電気出力50kWの電力供給のPPAに関するLOIを締結した。

このLOIによると、エクイニクス社は自社のデータセンターに供給する電力をオクロ社の計画する発電所から20年間購入し、さらに20年間の契約延長も可能。エクイニクス社はエクイティファイナンスを通じて、オクロ社に2,500万ドル(約38.6億円)の前払いをしている。エクイニクス社は、オクロ社が開発する電気出力10kW以上、総出力50kW以下の特定の発電所から、36か月間、発電電力の優先先買権を持つ。

2013年に設立されたオクロ社は、液体金属冷却高速炉技術を「オーロラ」で商業化する計画だ。この高速中性子炉は、ヒートパイプを使って炉心から超臨界二酸化炭素発電システムに熱を運び発電する。同社は、アイダホ国立研究所(INL)敷地内に建設する原型炉について米エネルギー省(DOE)からサイト使用許可を得ている。

2023年8月、米空軍省は国防兵站局エネルギー部門と共同で、アラスカ州のアイルソン空軍基地で電気と蒸気を供給するマイクロ炉の立地・設計・建設・所有・運転にオクロ社を選定したが、米司法省によるさらなる適正評価と業者選定プロセスの審査が完了するまで、落札者決定通知書を取り消した。今年1月に発表されたプロジェクトの最新情報によると、空軍省は依然として2027年末までの運転開始を目指しているという。

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