カナダ アルバータ州の新設プロジェクトでパブコメ
28 Apr 2025
カナダのアルバータ州を拠点とするエナジー・アルバータ社は4月14日、カナダ環境影響評価庁(IAAC)にピースリバー原子力発電プロジェクトの初期プロジェクト概要(Initial Project Description:IPD)を提出したことを明らかにした。IAACと加原子力安全委員会(CNSC)は同日から5月14日まで、IPDに関するパブリックコメントとフィードバックを募集している。
2005年に設立されたエナジー・アルバータ社は、豊富な運転実績のあるカナダ型加圧重水炉(CANDU炉)を活用したプロジェクトにより、アルバータ州の電源構成を多様化、同州民に安全で安心なエネルギーを供給すると同時に、質の高い雇用と経済的機会を創出し、持続可能な経済を構築することを目指している。
IPDは、設計および規制プロセスの主要な側面など、提案するプロジェクトの概要を早期に利害関係者に提供、最終的なプロジェクト設計の改善に役立つ関与の取組みを支援することを目的としている。IAACとCNSCが主導する影響評価(IA)は、複数年にわたる段階的な計画プロセスであり、環境、健康、社会、経済に対するプロジェクトの潜在的な影響のほか、先住民族とその権利への影響も評価する。IAプロセスが完了すると、連邦政府はプロジェクトが公共の利益になるかどうかを判断した上で、プロジェクトの進行を承認する。
エナジー・アルバータ社のS. ヘヌセットCEOは、「カナダの原子力産業は、すでに高レベルな雇用を創出し、政府に多額の収入をもたらす力強い経済のエンジンとなっている。今こそ、この機会をアルバータ州にもたらす時だ」と強調した。
エナジー・アルバータ社は、同州北部のピースリバー地域の1,424 haの土地にCANDU炉の新型炉MONARK(100万kWe)を2~4基建設するプロジェクトを提案。カナダ産の天然ウランを使用し、最大出力480万kW、運転期間70年を想定している。この地域で何千もの高スキルの建設、運転、保守の雇用を生み出し、ピーク時の建設労働力は5,000人、発電所のフル稼働時は、2,000人~3,000人の直接・間接雇用を見込んでいる。安定かつ安価なエネルギー供給により電力コストを削減し、同州への新たな投資の誘致による経済成長を期待している。また、CANDU 炉がカナダのGDPに大きな影響を与え、複雑な地政学的環境において供給の安全性を保障する自国設計・製造技術であることから、アルバータ州をクリーンエネルギー移行のパイオニアに位置づけるとともに、地方と国の両方のエネルギー需要を満たす革新的なソリューションであると指摘している。
エナジー・アルバータ社は、原子力に関する豊富な経験を持つチームを編成し、連邦・州政府、地域社会、先住民族およびコミュニティとの早期協議を含む、プロジェクトの推進に必要な作業を開始。ヘヌセットCEOは、「当社は、地域社会や先住民族とプロジェクトの全期間を通じて責任ある透明性のある関係を築き、プロジェクトがすべてのアルバータ州民に利益をもたらすことを約束する」と語った。