原子力産業新聞

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フランス 130万kW級原子炉の40年超運転を承認

14 Jul 2025

桜井久子

カットノン発電所  Ⓒ EDF

仏原子力安全・放射線保護局(ASNR)は73日、フランス電力(EDF)が所有する130kWPWR×20基の運転を、必要な安全性の強化措置を着実に実行することを条件に、40年を超えて運転を継続することを承認すると発表した。

対象となるのは、1980年代後半から1990年前半に運転を開始した、パリュエル発電所の4基、カットノン発電所の4基、サンタルバン・サンモーリス発電所の2基、フラマンビル発電所の2基、ベルビル発電所の2基、パンリー発電所の2基、ゴルフェッシュ発電所の2基、ノジャン・シュール・セーヌ発電所の2基の8サイト、計20基。

フランスでは商業炉の運転期間に制限がなく、国内57基の商業炉すべてを保有・運転するEDFが環境法に基づいて10年毎に詳細な定期安全審査を実施し、次の10年間の運転継続で課題となる設備上のリスクへの対応策等を検討。ASNRがこれらの対応策を承認し、関係要件がクリアされると判断すれば、次の10年間の運転許可が付与される。

ASNRは、2019年から2024年にかけて、放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)や常設の専門家グループに、EDF130kW級原子炉の4回目の定期安全審査の一環として提出した大量の調査報告書の審査、分析評価を依頼。さらに、評価プロセスへの一般市民の広範な関与を経て、130kW級原子炉の今後10年間の運転継続の条件ならびに定期審査時にEDFが実施すべき安全性の向上措置を決定した。今回の4回目となる審査は特に重要とされており、一部の原子炉部品が当初40年間の使用を前提に設計されていたため、運転期間の延長には設計の見直しや部品の交換が必要とされている。

ASNRによる今回の決定は、同一モデルで設計されたすべての130kW級原子炉に共通する事項に焦点を当てた「包括的評価段階」の審査を締めくくるもので、EDFが計画した主要な安全対策の実施と、安全目標を達成するために、ASNRが必要と考える追加対策を実施するよう求めている。EDFは今後、「各原子炉に特有の事項」、特に地理的立地(海岸、川、工業地帯など)を考慮した個別の評価や安全性向上の措置を実施し、各原子炉の審査報告書を提出する。報告書はパブリックコメントの対象となる。最後の審査は2040年まで続く見込みだという。

またEDFは、ASNRが求める安全要件の履行状況と、自社および協力会社の技術的能力を証明する年次報告書の公開、年次報告書の各地の情報委員会への送付など、長期的な安全強化プロセスにおける透明性と説明責任が強く求められている。

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