原子力産業新聞

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カナダOPG ポーランドのSMR展開への協力を強化

30 Jul 2025

桜井久子

LOI署名式 Ⓒ OPG

カナダ・オンタリオ州営電力のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は、ポーランドのオーレン・シントス・グリーン・エナジー(OSGE)社と7月21日、OSGE社がポーランド国内で小型モジュール炉(SMR)を展開するにあたり、OPG社が事前準備、運転、保守などのサービスを提供する、基本合意書(LOI)を締結した。

LOIは、20236月に締結された両社の合意をベースにしている。OSGE社は、米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社製のSMR「BWRX-300」をポーランド国内6サイトで最大24基を建設予定。同SMRは、OPG社がダーリントン・サイトで建設中のダーリントン新・原子力プロジェクト(DNNP)でも採用されている。

OPG社は、サイト別評価、プロジェクト管理、ライセンス戦略、技術コンサルティングなどの面で支援し、ポーランドのエネルギー自立とクリーンエネルギー導入に貢献したい考えだ。

LOIに署名したOPG社のN. ブッチャーCEOは、「当社はSMR分野においてリーダー的立場にある。エネルギー安全保障の解決策として、新たな原子力導入を進める国々が、当社とオンタリオ州に注目している。ポーランドが原子力発電の導入を進めるにあたり支援できる可能性を光栄に思う。カナダ国内の原子力サプライチェーンと経済成長にもつながるものだ」とコメント。OSGE社のR. カスプロウCEOも、「OPG社の実績と意欲を評価しており、その知見を得ることで、ポーランド初のSMR建設に自信を持てる」と述べた。LOI署名式には、ポーランド産業省からW. ヴロースナ次官兼戦略的エネルギーインフラ担当政府全権代表とP. ガイダ原子力局長が立会った。

BWRX-300は、電気出力30kWの次世代BWR2014年にNRCから設計認証(DC)を取得した第3世代+(プラス)炉「ESBWR(高経済性・単純化BWR)」をベースにしている。カナダ原子力安全委員会(CNSC)は今年4月、OPG社に対し、DNNPサイトにおけるBWRX-300の初号機の建設許可を発給。翌5月、オンタリオ州はDNNPサイトへのBWRX-300初号機の建設計画を承認した。OPG社によると、2030年末までに送電開始し、残りの3基は2030年代半ばまでに完成予定。オンタリオ州には強固な原子力発電のサプライチェーンがあり、80社以上がOPG社との契約を締結済みであるという。

OSGE社は、ポーランドへのBWRX-300導入のため、大手化学素材メーカーであるシントス社のグループ企業シントス・グリーン・エナジー(SGE)社と最大手の石油精製企業であるPKNオーレン社が50%ずつ出資し、2022年に設立された合弁企業。202312月に気候環境省から、国内6地点における合計24基のBWRX-300建設計画へ原則決定が発給され、OSGE社は現在、許認可手続きの準備を進めている。OPG社の子会社のローレンティス・エナジー・パートナーズ社と202411月に、ポーランド向けSMRの予備安全解析報告(PSAR)作成支援に係る、4,000万加ドルの契約を締結している。さらに、OPG社とOSGE社は、GVH社や米テネシー峡谷開発公社(TVA)と共に、技術協力グループの一員であり、BWRX-300の標準設計および主要機器(原子炉圧力容器と炉内構造物)の詳細設計の開発に共同出資している。

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