韓国KHNP世界を視野に ジンバブエとも協力
29 Aug 2025
韓国水力・原子力(KHNP)は8月22日、韓国ソウルにて、アフリカ大陸の南部に位置するジンバブエ教育革新研究開発センター(Center for Education Innovation Research and Development:CEIRD)と、韓国製の小型モジュール炉(i-SMR)の導入に向けた予備的実行可能性調査(F/S)の実施にむけて協力覚書(MOU)を締結した。
両者は同MOUに基づき、予備F/Sの実施のほか、原子力専門人材の育成支援や原子力技術情報共有の協力も行う。CEIRDはジンバブエの経済・社会に影響を及ぼす戦略的に重要な分野において、公共部門(政府、大学、研究機関)および民間人材向けの高等教育や、イノベーション、研究開発の促進を目的に2021年に設立された、高等教育科学技術開発省所管の組織。
KHNPによると、ジンバブエは電力源の大部分を水力と火力に依存し、設備の老朽化や気候変動の影響により安定した電力供給に支障が生じている。そのため、エネルギー供給源の多様化を図り、科学技術を基盤とした国の発展政策「ビジョン2030」の実現に向け、原子力発電の導入を積極的に検討しているところだという。今回のKHNPとの協力により、ジンバブエの中長期的なエネルギー戦略の策定において重要な転換点となることが期待されている。
KHNPのJ. ファンCEOは、「今回のMOU締結により、ジンバブエがエネルギー多様化を加速し、SMRを通じて持続可能なエネルギー解決策を見出すことを期待している。当社は、ジンバブエとの協力を基盤に、エネルギー需要が急増しているアフリカ市場への進出基盤をさらに強化していく」と語った。
なおKHNPは今年5月、アフリカ・ウガンダのエネルギー省とウガンダにおける新規原子力発電所サイトの適合性評価に係る委託契約を締結。サイト評価とともに、韓国製原子炉(APR1400、140万kWe)×4基の導入提案も含め、輸出を視野に協力を進め、成長の潜在力の大きいアフリカ市場において、KHNPのプレゼンスを拡大していく方針を示していた。
アフリカ以外においてもKHNPは、国内外でのこれまでの原子力発電所の建設・運転経験に基づき、i-SMRのグローバル展開に積極的であり、同炉のSMR市場における地位を確立・強化することを目指している。
KHNPは2023年12月、第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)の会期中、インドネシアの電力会社ヌサンタラ・パワー(PLN NP)社およびヨルダン原子力委員会(JAEC)とそれぞれMOUを締結。KHNPとPLN NP社は、インドネシアにおける経済性・技術に関する共同基礎調査のほか、地域の専門技術の開発、原子力分野の人的・技術交流などで協力する。JAECとも、i-SMRに関する包括的な技術交流と情報交換において協力し、ヨルダンにおいて共同F/Sを実施するという。今年6月には国営タイ電力公社(EGAT)とMOUを締結。SMRに関する基本的な技術知識を共同で研究・交換し、将来のSMRプロジェクトの実現可能性を評価することとしている。
KHNPは北欧では、SMRの導入を目指すノルウェーの新興エネルギー企業であるノルスク・シャーナクラフト(Norsk Kjernekraft)ならびにスウェーデンのプロジェクト開発企業のシャーンフル・ネキスト(KNXT)社とそれぞれMOUを締結。i-SMRの導入に向けた情報共有、建設候補地の予備的F/S、スマートネットゼロシティの開発で連携し、i-SMRで欧州市場へ参入する方針を明らかにしている。
i-SMRは、電気出力17万kWの一体型PWRで、大型炉に比較して大幅に工期を短縮するモジュール工法を採用し、運転システムの自動化による省人化などが特長。概念設計と基本設計は2023年末に完成。KHNPは2024年6月に自社の研究施設(CRI)内に開設したシミュレーターを用いて、i-SMRの設計や操作を検証し、開発にフィードバック。2025年末までに標準設計(SD)を完成させ、2028年に標準設計承認(SDA)の取得を目指している。KHNPは2020年、i-SMR開発プロジェクトに着手。同プロジェクトは2023年に国家研究開発プロジェクトに位置付けられ、韓国政府のバックアップの下でプロジェクト全体を管理するi-SMR開発機構が発足。KHNPや韓国原子力研究院(KAERI)のほか、韓国電力技術(KEPCO E&C)、韓電原子力燃料(KNF)や斗山エナビリティなど、韓国の主要原子力関連企業が参加している。