原子力産業新聞

海外NEWS

米EIA年次報告 ウラン調達量が8%増 価格も12年ぶり高値

14 Oct 2025

佐藤敦子

2024 Uranium Marketing Annual Report
©U.S. Energy Information Administration

米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)は930日、2024年のウラン市況年次報告書(Uranium Marketing Annual Report)を公表した。報告書によると、米国の民間原子力発電事業者によるウランの調達量と価格はともに上昇傾向にあり、価格は2012年以来の高値を記録した。海外依存は依然として高いが、国内供給の割合がやや回復している。

2024年に米国の民間原子力発電事業者が購入したウランは、U₃O₈換算で5,590万ポンド(約25000トン)。前年の5,160万ポンド(約23000トン)から約8%増加した。平均購入価格は1ポンドあたり52.71ドル(7,996)と、前年の43.8ドル(約6,644円)から約20%上昇し、2012年以来の最高水準となった。

ウランの最大の調達先はカナダで、全体の36%を占めている。次いでカザフスタン24%、オーストラリアが17%。2024年の総供給量に占める米国産の割合は8%で、前年の5%から増加した。依然として海外依存が高いものの、国内生産の回復傾向が見られる。

ウラン燃料の製造過程で必要な濃縮役務については、全体の81%が海外起源だった。このうちロシアが20%を占め、304SWUを供給。米国内の濃縮量(289SWU)を上回り、ロシア依存が依然として続いている。

2024年、米国の民間原子力発電事業者が結んだ新規ウラン購入契約21件だった。実際に納入されたウラン量は300万ポンド(約1,361トン)で、加重平均価格は1ポンドあたり86.20ドル(約13,000円)に上った。2023年は契約数26件、納入量549万ポンド(約2,490トン)、平均価格61.93ドル(約9,400円)だったことから、価格が上昇傾向にあることがうかがえる。

また、報告書では今後10年間に見込まれる潜在的なウラン需要も示されており、2025年から2034年までの最大総需要は約41,800万ポンド(約19万トン)に達すると推計している。

cooperation