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フラマトム フランスで先進炉向けTRISO燃料を製造へ

28 Nov 2025

桜井久子

フラマトムのロマン=シュル=イゼール燃料製造サイト © Framatome

仏フラマトム社は115日、フランス南東部にある同社のロマン=シュル=イゼール燃料製造サイトに先進炉向けTRISO3重被覆層・燃料粒子)燃料の専用パイロットラインを新設すると発表した。高温ガス炉(HTR)などの先進炉で使用される燃料であり、同社は米スタンダード・ニュークリア社との合弁で進めている米国でのTRISO製造事業に加え、フランス国内でも事業拡大を図る。

新しいパイロットラインでは、20%まで濃縮されたTRISO燃料の仕様策定および認定、製造プロセスと品質管理の確立が可能となり、将来的なフランスでのTRISO燃料の商業規模生産への重要なステップとなる。

フラマトム社のL. ガイフ上級副社長(燃料事業部門担当)は、「65年以上の燃料製造の経験を生かし、顧客やパートナー(新興企業を含む)のニーズに合わせたTRISO燃料プログラムを開発し、先進燃料分野におけるイノベーションを支援する」と述べた。

同社はさらに、フランスの「革新的原子炉プロジェクト2030」の一環として、SMR開発スタートアップのブルーカプセル・テクノロジー社と、TRISO燃料粒子の認定ならびにHTR用の燃料要素の製造に係わる協力の推進で合意。先進炉用燃料の開発と供給体制の強化を進める。

TRISO燃料は、濃縮ウラン粒子をセラミックと炭素層で3重に被覆した構造を持ち、①極めて高い耐熱性、②優れた被覆保持性能、③想定外事象に対する高い安全性ーを備えることから、「地球上で最も堅牢な原子炉燃料」とも称される。

フラマトム社は114日には、先進炉燃料の商業化に向けて重要なマイルストーンである、ウラン金属化に成功したことを明らかにした。ウラン金属は、米テラパワー社が開発するナトリウム冷却高速炉「Natrium」(34.5kWe)が使用するHALEU(高アッセイ低濃縮ウラン)燃料の重要要素。金属化加工ラインは、フラマトム社の米ワシントン州リッチランドにある燃料製造施設に整備された。両社は20245月、同施設を拡張し、酸化物形態のHALEUを金属に転換するパイロットプラントを建設することで合意しており、今回の成功でNatriumの燃料サプライチェーン構築が一段と進んだ形だ。

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