原子力産業新聞

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台湾電力 馬鞍山発電所の運転再開に向けて審査を申請

30 Mar 2026

桜井久子

馬鞍山原子力発電所 Ⓒ Taiwan Power Company

台湾電力は327日、核能安全委員会(原子力安全委員会)に対し、馬鞍山原子力発電所12号機(PWR90kWe級、各20247月、20255月閉鎖)の運転認可更新申請と運転再開計画を提出した。台湾電力は今後、自主的な安全点検を完了し、核能安全委員会の審査を経て運転認可の再発給の後、運転を再開できる。

台湾電力は馬鞍山発電所の運転再開計画についてすでに政府経済部の同意を得ており、「原子炉施設運転認可申請審査規則」第16条第1項に基づき正式に審査申請を行った。計画の内容は主に以下の5項目から構成される:
・設備の現状と計画スケジュール
・人員配置および訓練
・運転再開に向けた工事作業および定期保守
・運転期間中の規範の策定
・品質保証および監査計画

台湾電力は、すでに両機の炉メーカーである米ウェスチングハウス社と契約を結び、同発電所の自主的安全検査を開始している。同検査には約1824か月を要し、完了後は報告書を核能安全委員会に提出して審査を受ける必要がある。また審査期間は同委員会が決定し、審査を通過すれば運転認可の再発給となる。國聖発電所1・2号機(BWR100kWe級、各202112月、20233月閉鎖)については、両機の炉メーカーである米GE社の支援を受け、使用済み燃料の乾式貯蔵施設の完成と原子炉炉心の使用済み燃料の撤去後に、関連する安全検査を行うという。

核能安全委員会は、改正された関連法規と国際基準を踏まえて審査を実施するとしており、台湾電力は今後、経年化対策、放射線関連評価、耐震安全評価などの追加資料も段階的に提出する必要がある。審査では外部専門家を含むチームが厳格に評価を行い、現地検査を含め、計画の妥当性や安全基準への適合性を確認する。さらに、審査の透明性確保のため、進捗状況は公開され、地方自治体や住民の意見も審査に反映されるという。

今回の申請の背景について経済部は、近年の国際的な地政学的リスクの急増とAI産業の急伸が台湾の半導体産業およびAIサプライチェーンの爆発的な成長を牽引し、台湾経済の急速な成長を後押しし、長期的な電力需要の増加の見込みを指摘。台湾の電力の安定供給と産業の国際競争力の維持のためには、再生可能エネルギーを含むエネルギーミックスの推進と各界の支援が必要であるとしている。関連手続きについて、経済部は台湾電力に対し、国際法規に準拠し、メーカーの支援を得て実施するよう指示し、核能安全委員会の審査に協力するとしている。

台湾の産業界は安定的な電力供給を求め、政府に対しエネルギー政策の見直しを要請してきていた。カーボンニュートラルと国内のエネルギー供給構造の安定を維持するため、20255月に立法院(国会)で「核子反応器設施管制法」(原子炉等規制法に相当)の第六条条文のうち、原子力発電所の運転期間を最長で20年延長とする改正法案が審議、可決された。同年8月には、馬鞍山発電所の運転再開の是非を問う、国民投票を実施。賛成多数となったが、成立要件を満たさず不成立となった。頼清徳総統は本投票結果を受けて、脱原子力政策の見直しにあたっては、①原子力安全、②放射性廃棄物問題の解決、③社会的コンセンサスの三つの原則の遵守が大前提であり、運転再開の可否については、まずは5月の改正法に基づき、核能安全委員会が安全審査の方法を定め、第二に、台湾電力がその方法に基づいて自主的安全検査を行う必要があるとの談話を発表した。台湾電力は改正法とその施行細則に基づき、閉鎖済み3サイトの原子力発電所の現状評価を実施。國聖発電所と馬鞍山発電所については初期評価では運転再開に向けた条件を備えているとする現状評価報告書を経済部に提出、同年11月に承認されていた。

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