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マイクロソフト エヌビディアと連携 原子力向けAI活用進む

06 Apr 2026

佐藤敦子

©Microsoft

米マイクロソフト社は3月24日、エヌビディア社と連携し、原子力分野の設計・許認可・運用に至る全工程を対象としたAI活用の枠組みを発表した。従来ボトルネックとされてきた許認可手続きの効率化を前面に打ち出しており、原子力プロジェクトの開発期間短縮につながる可能性がある。

設計段階ではデジタルツイン[1]現実の発電設備などを仮想空間上に再現し、動作や変化を事前に検証する技術や高精度シミュレーションを活用し、設計変更の影響を迅速に評価する。許認可段階では生成AIが文書作成や不整合の検出を支援し、申請手続きの効率化を図る。さらに建設段階では工程やコストのシミュレーションを通じた施工管理の高度化、運用段階では異常検知や予知保全による稼働率向上を見込む。

また、設計から運用までのデータとシミュレーションを統合することで、各工程の進捗や設計内容、コスト情報の一元管理を可能とし、事業者や規制当局による確認作業の効率化と意思決定の迅速化につなげるとしている。

こうした民間主導の動きと並行し、米国では政府・研究機関を巻き込んだAI活用の実証も進んでいる。ニューヨークに拠点を置く原子力分野向けAI開発企業、Everstar(エバースター)社は3月26日、マイクロソフト社、米エネルギー省(DOE)、アイダホ国立研究所、アルゴンヌ国立研究所との連携を発表した。DOEが主導するAI活用推進プログラム「ジェネシス・ミッション」の一環で、原子力分野におけるAI活用の具体化を図る。

エバースター社は、同社開発のAIプラットフォーム「Gordian」を用い、DOEの安全解析報告書を米原子力規制委員会(NRC)の許認可申請書に相当する形式へ変換する実証を実施。同社によると、従来は専門家チームが4~6週間を要していた作業を、1日で完了したとしている。エバースター社では許認可分野での活用が実証段階に入りつつあり、マイクロソフト社が提示するAI活用の枠組みと合わせ、AIの適用範囲が設計・許認可といった中核領域におよび始めたことで、原子力プロジェクトの開発期間やコスト構造に影響を与える可能性がある。

脚注

脚注
1 現実の発電設備などを仮想空間上に再現し、動作や変化を事前に検証する技術

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