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NEIトップ講演にみる米原子力産業の現状 4倍拡大目標へ「大規模展開が課題」

08 Jun 2026

大野 薫

M. コースニック氏 © NEI

米原子力エネルギー協会(NEI)のM.コースニック会長兼CEOは5月12日、会員企業や原子力関係者らを招いて毎年開催する「Nuclear Energy Policy Forum」で講演し、米国の原子力産業について「追い風が吹いている(momentum is on our side)」との認識を示した。政策支援や規制改革、官民投資、AI・データセンターによる電力需要増などを背景に、米原子力産業は「拡大局面に入りつつある」としたうえで、「問われているのは建設できるかではなく、大規模に展開できるかだ」と強調した。

政策面では、D. トランプ政権が2050年までに米国の商業用原子力発電設備容量を現在の約4倍となる4億kWに拡大する目標を掲げていることを紹介。その実現に向け、2025年5月に同大統領が署名した4本の大統領令では、原子力発電所の再稼働・新設支援や原子力規制委員会(NRC)の規制改革、人材育成、国内燃料サイクルの強化、原子力技術の海外展開促進など、業界が長年求めてきた施策が盛り込まれたと説明した。米国が「原子力分野で世界を主導すべき」との政権の姿勢についても歓迎した。

規制面では、NRC改革の進展を大きな成果として挙げた。NEIの調査によると、既設炉を保有する電気事業者は20の発電所で運転認可更新、29基で出力増強を進めているほか、今後15年間で2,340万kWの新設を計画しているという。こうした動きを支えるため、第2回目の運転認可更新(subsequent license renewal)の審査期間短縮や検査工数削減などが進んでいると説明。先進炉では、テラパワー社のナトリウム冷却高速炉「Natrium」(電気出力34.5万kW~50万kW)の審査が18か月で完了し、予定より9か月前倒しとなったことなどを紹介した。そのうえで、「21世紀の課題を20世紀のルールで解決することはできない」と述べ、「大規模展開には規制改革が不可欠」との認識を示した。

また、コースニック氏は、政府による公的支援に加え、民間資本の流入拡大にも言及した。モルガン・スタンレーは、2050年までの原子力投資額を2.2兆ドル(約349兆円)と予測しており、前年予測から47%増加したという。2025年には原子力スタートアップ全体で約30億ドル(約4,800億円)を調達し、X-エナジー社による約10億ドル超(約1,600億円)の大型資金調達もあった。さらに、ブルックフィールド社とThe Nuclear Companyによる合弁設立にも触れ、2017年7月に建設中止となったV. C. サマー(AP1000×2基)を含む、ウェスチングハウス(WE)社製原子炉の建設推進に向けた新たな動きも出ていることを紹介した。燃料分野でも、ウラン濃縮能力の拡大に向けた民間投資が進んでいるとした。

さらに、AIの普及やデータセンターの増加による電力需要の急増も追い風として挙げた。同氏は、世界のデータセンターの電力消費量は2030年までに倍増し、米国では3倍になるとの見通しを示した。ビッグテック各社による原子力活用の動きも紹介し、Meta、Google、Amazonなどによる投資・電力調達を例示。ビッグテックの原子力に対する需要規模は現状、約4,000万kWに達するとした。

また人材確保も大きな課題として挙げ、2050年までに必要な人材は現在の約3倍に増えると予測。ボーグル3、4号機(AP1000×2基)の建設では8,000人超が従事したことを紹介し、建設労働組合で技能訓練制度(apprenticeship program)が拡大していることにも触れ、人材育成の重要性を訴えた。

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