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米NRCが規制制度を抜本見直し 実効性・効率性・迅速性を追求

31 Jul 2026

桜井久子

© NRC

米原子力規制委員会(NRC)は6月中旬から7月上旬にかけて、規制制度をリスク情報に基づき、より効率的で予見可能かつ合理的なものへ見直すため、複数の重要な規則改正案を相次いで公表した。2024年制定の先進的な原子力展開の加速化法(ADVANCE法)、2025年5月の「NRC改革に関する大統領令」を踏まえたもの。

同大統領令ではNRCに対し、規則および指針文書の検討と抜本的な改正を指示。発令日から9か月以内に規則改正案を公示し、18か月以内に最終規則及び関連する指針を整備するよう指示しており、NRCは一連の規則改正の取組みを続けている。

NRCのH. ニー委員長は、現行の規制が新技術や米国のエネルギー需要に追いついていないと指摘。一連の規則改正により硬直的な枠組みや不必要な保守主義を取り除き、安全性を堅持しながら、許認可手続きに要する時間と負担を減らし、先進炉を含む新たな原子力発電所の導入や既設炉の活用を促進し、米国の原子力利用拡大を支える規制基盤を構築する意向を示した。以下のような重要な規則改正案について現在、パブコメや公開協議が実施されている。

環境審査プロセスの大幅な近代化

2023年6月の国家環境政策法(NEPA)の改正に基づき、環境保護の水準を維持しつつ、原子力施設の許認可に伴う環境審査の効率化を目的に、環境保護規則を大幅に改正。現行規則は数十年間、包括的な見直しが行われておらず、今回の改定で、NEPAの要求にはないがNRCが実施している環境影響評価(EIS)草案の作成・公表を廃止し、重大な環境影響を通常は生じないとNRCが判断する行為についてEISEA(環境アセスメント)を不要とする「カテゴリー除外」(CatEX)の適用を拡大。2度目の運転期間延長、出力増強、廃止措置に加え、新設炉計画についても、一定の条件を満たし、通常は重大な環境影響を生じないと判断されるものをCatEXの適用対象として検討する。また、これまで案件ごとに審査期間が大きく異なっていた環境審査について、NEPA改正を反映し、原則としてEA1年以内、EIS2年以内に完了することを明確化。NRCによる環境審査の対象を、法的権限によって防止・緩和できる放射線安全や核セキュリティに関する影響に大幅に限定、権限外の一般的な非放射線影響は原則として審査対象外とする。審査期間を短縮して手続きの予見可能性を高め、申請者・NRC双方の規制負担の軽減を図る。

放射線防護規則の近代化

放射線防護規則に最新の国際的な科学的知見や運用実態を反映、規制体系の簡素化・明確化を目的とする規則改正。現行の職業被ばく線量限度や一般公衆の線量限度などの安全の根幹となる数値基準は変更しないものの、長年採用されてきた「ALARAAs Low As Reasonably Achievable: 合理的に達成可能な限り低く)」の考え方を一律の規制要求とする考え方を見直し、より客観的でリスク情報に基づく規制へ移行する。規制をより明確で実効的なものとし、不要な規制負担を減らして審査や運用の効率化を図り、規制対象者の手続き負担を軽減する。

原子炉許認可制度の包括的な近代化

原子炉の設計、建設、運転、運転延長、廃止措置に至るまでの多数の規制分野に及び、ここ数十年の間で最も包括的な規則改正。現在の技術と次世代炉の双方に合わせ、リスク情報を活用した柔軟で性能重視の規制に転換することが目的。新設の迅速化に向け、審査を安全上重要な設備に重点化し、一部の建設準備作業を早期に開始できるようにする。また、安全解析や設計変更について、リスク情報に基づく規制手法による審査の合理化を図り、炉の設計に応じた柔軟な緊急時計画区域の設定や防災計画を導入。品質保証では国際的な品質保証基準に整合した制度も選択できるようにし、革新的な技術の導入やサプライチェーンの多様化を支援する。加えて、運転認可期間の延長、立地基準や廃止措置費用の積立要件も、先進炉など多様な炉型に対応して柔軟に設定できるようにする。さらに、高純度低濃縮ウラン(HALEU)や事故耐性燃料(ATF)などの先進燃料の利用について、その特性を踏まえ、安全上重要なリスクに重点を置いた合理的な安全規制へ見直す。

放射性廃棄物処分規則の大幅な改正

クラスCを超える低レベル放射性廃棄物Greater-Than-Class-C(GTCC, 炉内構造物相当の放射性核種濃度の廃棄物)の処分に関する規則改正。現行制度ではGTCC廃棄物の明確な処分方法が定められていないため、低レベル放射性廃棄物の処分制度を見直し、施設ごとの立地条件や廃棄物の特性を踏まえたリスク情報に基づく柔軟な規制を導入。GTCC廃棄物についても、浅地中処分を含む複数の処分オプションを整備する。科学・工学や廃棄物管理技術の進展を反映した規制に改め、作業員、公衆、環境への十分な防護を維持しながら、事業者に予見性の高い処分制度を設定し、原子力利用を支える燃料サイクル全体の基盤整備を目指す。

核セキュリティ要件の大幅な近代化

原子力施設の警備・核物質防護および職務適性に関する大幅な規則改正。実際の脅威やリスク情報に応じた性能重視の規制に移行し、安全保障や公衆の安全を損なうことなく、不要な規制負担を軽減する。先進炉をはじめ多様な原子力施設について、施設ごとの特性やリスクに応じた警備・核物質防護ならびに職務適性管理を可能とし、最新の監視技術やデジタル技術の活用にも対応した、より効率的で実効性の高い核セキュリティ規制の構築を目指す。

先進的な燃料インフラ整備を加速

燃料サイクルおよび燃料に関する許認可規制を大幅に改正。燃料サイクル施設や核燃料物質等に関する許認可制度の近代化や、次世代原子力技術の導入の加速を目的とした先進炉用燃料に関する要件を更新。また、燃料の製造、貯蔵、利用および核セキュリティに関する規制を近代化し、安全基準を維持しながら不要な規制負担を軽減、国内の燃料サプライチェーンの強化と先進燃料の利用促進を図る。

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