米テネシー州 核融合専用規制で全米初のライセンス
11 Sep 2026
米テネシー州のB. リー知事は8月31日、テネシー州環境保全局(TDEC)が核融合開発企業のタイプ・ワン・エナジー(Type One Energy)社に対し、核融合装置の運転に必要な副産物物質ライセンスを発給したことを明らかにした。核融合装置に特化した新たな規制制度に基づくライセンス発給は全米初。
同州オークリッジ近郊にあるテネシー峡谷開発公社(TVA)のブルラン・エネルギー・コンプレックス(旧ブルラン火力発電所サイト)で進められる、ステラレータ技術[1]複雑にねじれたコイルだけでプラズマ閉じ込めに必要な磁場を作る方式。を採用した商用核融合プロジェクト「プロジェクト・インフィニティ」(Project Infinity)が今回のライセンス発給の対象。同プロジェクトは段階的に進められ、工学的検証・訓練用プラットフォーム「Infinity One」に続き、40万kWeの商用核融合設備「Infinity Two」の建設を計画している。
タイプ・ワン・エナジー社は2025年2月、TVAと「Infinity Two」の計画策定に関する協力で合意し、同年9月には同計画をブルラン・エネルギー・コンプレックスに展開する意向書(LOI)を締結。同社とTVAは密接に連携し、今年1月にライセンスを申請していた。
米原子力規制委員会(NRC)は2023年4月、核融合装置を商用核分裂炉と同様の規制ではなく、既存の副産物物質(Byproduct Material)規制を基に管理する方針を決定。NRCとの協定に基づき副産物物質の規制権限を持つ「Agreement State」であるテネシー州では、TDECにある放射線保健部門が核融合装置および核融合関連活動のためのライセンスプログラムの策定を主導し、今年6月に全米初となる核融合装置専用の規制制度を施行した。今回のライセンス発給は同規制制度の初適用事例。同州は今後、同制度を他の州が核融合発電を規制する際の参考モデルにしたい考えだ。
プロジェクト・インフィニティは段階的に進められる。第1段階では、工学的検証・訓練用プラットフォームの「Infinity One」を年内に着工し、2029年の運転開始をめざす。続く第2段階では、「Infinity Two」を2028年に着工し、2034年の全面運転を計画している。タイプ・ワン・エナジー社の商業用地は、オークリッジ国立研究所(ORNL)、TVA、テネシー大学などとのプロジェクトを通じて核融合開発キャンパスとして整備される予定だ。
リー知事は、「テネシー州は原子力エネルギーの世界的中心地として、次世代の原子力イノベーションを牽引するために必要な人材、インフラ、規制の枠組みを整備している。核融合のような新技術に向けた明確な道筋を示し、今後何世代にもわたり信頼性が高く豊富なエネルギー源を推進している」と強調した。
脚注
| ↑1 | 複雑にねじれたコイルだけでプラズマ閉じ込めに必要な磁場を作る方式。 |
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