韓国 米船級協会とSMR推進船舶の共同開発で提携
09 Apr 2026
韓国のHD現代(ヒュンダイ)傘下の韓国造船海洋エンジニアリング(KSOE)とHD現代三湖(HSHI)は3月9日、次世代のカーボンフリー船舶を開発するため、米国船級協会(ABS)と、大型コンテナ船向け原子力電気推進システムの概念設計に関する共同開発契約(Joint Development Agreement: JDA)を締結した。
本契約により、16,000 TEU(20フィートコンテナ換算)級のコンテナ船に特化した、原子力電気推進システムの技術的実現可能性を評価。海運業界の脱炭素化基準を満たすため、コンテナ船向けに最適化された原子力電気推進システムの基本設計、電子製品仕様の選定、動力設備のレイアウト設計などで協力する。特に、最大10万kWe級の安定供給が可能な小型モジュール炉(SMR)を船舶動力源として利用したい考えだ。
加えて、衝突・浸水などの緊急事態でも安全性を確保できるよう強化された安全基準を設計に反映。国際海事機関(IMO)の規定および国際原子力機関(IAEA)の安全基準に適合する船内電力システムを適用することで、国際規制への適合性と運航の信頼性を確保する方針である。
またHD現代は、長時間の航海および高速運航が求められる大型コンテナ船向けに、ツインスクリュー(Twin Screw)プロペラ推進システムを適用し、推進力と機動性の向上を図る。また、エンジンモーターをプロペラに直接連結する直結推進方式を採用し、動力伝達過程で発生するエネルギー損失を最小限に抑え、運転効率を高める計画だ。電力消費の大きい冷凍・冷蔵貨物輸送用のリーファーコンテナの積載拡大も可能となり、荷主の輸送需要に柔軟に対応するという。
ABSのM. ミューラー北太平洋事業開発担当副社長は「本協業は、大型コンテナ船向けの原子力電気推進システムの可能性を検証する極めて重要なプロジェクト。HD現代の造船技術とABSの海事安全分野におけるエンジニアリングのノウハウを組合わせ、次世代推進ソリューションの安全性、効率性、環境性能を総合的に検証する」と語った。一方、KSOEのB. クォン電動化センター長は、「環境に優しい船舶の需要増加に応え、原子力電気推進システムの研究開発を拡大し、技術競争力を強化していく」と意欲を示した。
HD現代は2025年2月、米ヒューストンで開催された「New Nuclear for Maritime Houston Summit」で、15,000 TEU級SMR駆動コンテナ船の設計モデルを初公開した。今回、共同開発するコンテナ船はそれを上回る規模となる。同年9月に伊ミラノで開催された「Gastech 2025」において、KSOEとHD現代重工業(HD HHI)は、電気推進システムを搭載した16,000 TEUコンテナ船の概念設計について、ABSから基本設計承認(AiP)を取得し、開発の第1フェーズを完了している。





