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米空軍 マイクロ炉導入へ3社選定 2030年の稼働目指す

07 May 2026

佐藤敦子

マイクロ炉導入候補地となったバックリー宇宙軍基地のレーダードーム施設 ©Buckley Space Force Base

米空軍省(DAF)は422日、軍事基地向けにマイクロ炉の導入を進める「Advanced Nuclear Power for InstallationsANPI」プログラムにおいて、開発・運営事業者としてラディアント(Radiant Industries)社、ウェスチングハウス(WE)社、アンタレス・ニュークリア(Antares Nuclear)社の3社を選定したと発表した。2030年までに少なくとも1サイトでの稼働を目指す。

同プログラムは米国防総省(DOD)傘下の国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation UnitDIU)と共同で推進される。DIUは、民間技術の軍事転用を進める国防省組織で、スタートアップ企業との連携などを担う。民間企業が所有・運転するマイクロ炉を軍事基地に設置することで、外部電源への依存低減を図る。米軍基地の多くは民間電力網に依存しており、有事や災害時の電力確保が課題とされている。

各社の配備先として、ラディアント社はコロラド州バックリー宇宙軍基地、WE社はモンタナ州マルムストローム空軍基地、アンタレス社はテキサス州ジョイント・ベース・サンアントニオをそれぞれ担当する。今後は立地選定および環境影響評価(EIA)が行われる予定となっている。

ラディアント社の「カレイドス(Kaleidos)」は電気出力約0.12kWのヘリウム冷却マイクロ炉で、遠隔地への輸送・展開を想定した可搬型設計を採用する。48日、米アイダホ国立研究所(INL)内の国立原子炉イノベーション・センター(NRIC)は、マイクロ炉実験機の実証(Demonstration of Microreactor ExperimentsDOME)の運用を開始。燃料を装荷したマイクロ炉のテストを実施できる体制が整ったとしている。カレイドスの試験プログラムは2026年中に開始予定で、原子炉の初起動は今夏頃、納入開始は2028年以降を計画している。

WE社が開発する「eVinci」はヒートパイプ冷却方式を採用した電気出力約0.5kWの可搬式原子炉。ヒートパイプにより、機械式ポンプに依存しない熱輸送を実現するほか、燃料交換なしで8年以上の連続運転が可能とされる。燃料にはTRISO3重被覆層・燃料粒子)を採用。20256月、INLでの試験実施に向けた承認を取得している。

アンタレス社の「R1」はナトリウムヒートパイプ冷却炉で、TRISO燃料を採用。2026年の臨界実証、2027年の発電試験を経て、2028年からの量産展開を計画している。

同計画にはこのほか、BWXT社、ジェネラル・アトミックス・エレクトロマグネティック・システムズ(GA-EMS)、ケイロス・パワー社、オクロ社、X-エナジー社の5社も参加資格を有しており、今回の選定は3サイトにそれぞれ1社を割り当てた形となる。なお、アラスカ州アイルソン空軍基地では別途、オクロ社が担当するパイロット事業も進められている。同事業はANPIとは別枠の取り組みで、単一基地におけるマイクロ炉の実現可能性や運用面での有効性の検証を目的としている。

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