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ハンガリー パクシュ発電所が全出力で運転再開へ

25 Aug 2026

桜井久子

© Government of Hungary

ハンガリー政府は823日、記録的な熱波に伴うドナウ川の低水位により運転制限を実施していた同国のパクシュ原子力発電所(ロシア製PWR=VVER-440、各50kWe×4基構成)について、同26日に全基を運転再開する見通しを示した。ドナウ川の記録的な低水位によって冷却水の取水が難しくなり、7月末から出力制限や運転停止を実施していたが、川底堰の建設やバージの設置に加え、上流での降雨によって水位が上昇し、運転再開の見通しが立った。パクシュ発電所は同国唯一の原子力発電所で、198387年に運転を開始し、ハンガリーの総発電電力量の約45%を供給している。

8月2日時点で同2号機を除く全基が運転を停止、2号機は50%出力で運転を継続していたが、810日には水位の上昇を受け、定格出力に復帰した。一方で、政府は812日、事態の悪化に備え、長期的な対策として発電所前の川床に堰を建設するほか、緊急措置として全長80m、幅10m、深さ3mのバージ2隻を沈め、局所的に水位を引き上げることを決定していた。本事業の推定費用は総額61億フォリント(約30億円)。なお、パクシュ発電所の運転停止に伴う電力輸入による経済的損失は毎月少なくとも500億フォリント(約250億円)に達するという。

13日には、川底堰の建設に向け、軍を動員して両岸から約14.5の石材を投入する計画が示された。完成まで約30日を見込み、低水位時にパクシュ発電所付近の水位を少なくとも約50cm引上げることを目指している。バージの沈降や川底堰の建設に加え、ドナウ川支流の水門の開放、ドイツとオーストリア上流域での降雨による増水もあり、20日には水位が約15cm上昇。これにより、運転中の2号機の停止は不要となったほか、22日には3号機、23日には1号機が稼働を開始。8基の冷水ポンプのうち7基も稼働を再開した。P. マジャル首相は23日のパクシュ発電所での記者会見において、26日には全4基の定格出力での運転に復帰できるとの見通しを示した。

また同首相は、記録的な干ばつとドナウ川の低水位を受け、今秋にも気候危機の影響から守るための気候法、水資源管理法、エネルギー管理法案を議会に提出する考えを示した。水資源確保のための貯水施設の建設などを検討していくとしている。

隣国のルーマニアでは、同国唯一の原子力発電所であるチェルナボーダ発電所(CANDU6, 70kW×2基)においても取水するドナウ川の水位低下を受け、冷却ポンプを保護するための予防的措置として、1号機が728日に運転を停止。2号機の運転継続に向け、発電所の集水域に水を誘導するため、8月3日にはルーマニア海軍が発電所周辺の川底の岩盤を爆破。さらに、バージを沈めるなどの対策を講じたが、水位は安全基準を下回り、2号機も813日に運転を停止した。同国の原子力シェアは約20%。政府は不足する電力を補うため、国内の利用可能な発電設備を最大限活用し、輸入電力への依存を抑える措置を実施。今後10日間の電力需要や気象予測などをふまえ、両機停止による供給不足は既存の発電設備で補えるとの見通しを示している。一方で冷却水を確保するため、822日に国家緊急事態委員会が緊急措置を決定した。川床浚渫や取水地点に水を導く堤の設置に加え、オルト川のダムから5日間、平均50m³/秒の追加放流、必要に応じて大容量ポンプやドナウ・黒海運河からの放水を活用する。

また、ブルガリアのコズロドイ原子力発電所では7月以降、ドナウ川の記録的な低水位でも独自の陸上揚水ポンプにより必要な水量を確保し、5-6号機(VVER-1000、各104.0kWe)の運転を継続してきたが、水位予報が引き続き下降傾向を示す中、821日から5号機の出力を予防措置として約12kWe低下させている。52年に及ぶ同発電所の運転史上初めての措置であるという。

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