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ポーランド 原子力発電プログラムの改定版を閣議決定

09 Oct 2026

桜井久子

© Ministerstwo Energii

ポーランドの閣僚会議は9月29日、同国における原子力発電の今後の発展を定める戦略文書「ポーランド原子力発電プログラム(PPEJ)」の改定版を承認した。エネルギー安全保障の強化や脱炭素化、石炭火力の代替を推進し、原子力を国内産業の成長につなげることが柱となっている。

前回の2020年に閣議決定されたPPEJの戦略的目標である「原子力発電所を2サイトで建設し、最大900万kWeの新規発電設備容量を確保するとともに、国のエネルギー安全保障とエネルギー部門の転換を支え、さらなる経済発展の基盤を築くこと」に変更はないものの、エネルギー危機やロシアのウクライナ侵攻に加え、安定供給が可能な低炭素電源への需要の高まりなど、近年の欧州のエネルギー市場に影響を与えた変化を反映。人材・インフラ整備、国内産業の参画拡大、原子力規制体制の構築がより具体的な実施課題として盛り込まれている。

また、第1発電所(EJ1)、第2発電所(EJ2)の建設に関するスケジュールやEJ2建設の主要な実施方針が定められた。原子力発電の導入に向けた課題に対応する予算が増額され、原子力分野における能力構築の支援、ポーランド産業界の原子力プロジェクトへの参加支援、ならびに原子力規制機関である国家原子力機関(PAA)の強化などに充てられる。中でも、PAAへの支援は、許認可プロセスの効率化・円滑化や、原子力安全と国民の放射線防護の適切な水準の確保に資するものであり、予算の最大部分を占めている。

EJ1では、国営企業「Polskie Elektrownie Jądrowe, PEJ」が、米ウェスチングハウス社製AP1000×3基を採用し、総出力約375万kWeの原子力発電所を建設する計画だ。2025年12月には欧州委員会がこの投資プロジェクトの国家補助を承認し、2026年3月にはPEJがPAAに建設許可を申請した。現在、建設現場での準備作業および付帯インフラの整備や契約締結の準備が継続されている。2025年から2030年にかけてのEJ1プロジェクトへの資本注入として、602億ズロチ(約2.4兆円)を計上。資金調達モデルは、自己資本に加え、国内外の借入資金から構成されている。

建設スケジュールについては、EJ1は初号機が2036年、2、3号機が2037~2038年、EJ2は3基が2040~2042年に営業運転を開始する計画に変更されている。前回のPPEJではEJ1の営業運転開始を2033年としていたが、今回の改定でより現実的な工程に見直した。

EJ2については、EJ1と同様に実績のある第3世代+(プラス)の大型水冷却炉の採用を予定。サイト候補地としては、適切なエネルギーインフラと長年の発電実績を有する同国中央部のベウハトフ地区やコニン地区が引き続き有望視されている。最終的なサイト選定は、詳細な分析と現地調査を経て事業者が決定するとしている。現在、原子炉ベンダーや主契約者選定に向け、米国、フランス、カナダと協議を進めている。原子炉技術とプロジェクトの資金調達を網羅した包括的な提案を比較し、2027年にはベンダーと主契約者を選定、2032年頃に着工、2040年頃に初号機の営業運転を開始する計画を示している。

2サイトでの原子力発電所の建設は、ここ数十年でポーランドにおける最大規模の産業・技術プログラムの一つ。PPEJでは優先課題に強力な国内サプライチェーンの構築を掲げており、特に建設や鉄鋼、電気機械、運輸、物流、産業オートメーション、エンジニアリングサービスなどの国内企業の原子力プロジェクトへの参画比率を体系的に高めていく方針を示している。EJ1初号機の建設では、国内企業の参画比率は約40%に達すると推定。後続炉では能力や経験の向上、および認定企業の増加に伴い、この比率が最大約70%に達する可能性を指摘している。企業の認証プロセスを支援するとともに、施工能力の向上を図り、国内の原子力プロジェクトだけでなく、海外市場への参画も視野に入れている。

さらに、PPEJの最重要な課題として、人材育成、科学研究基盤、教育システムの整備を掲げる。今後数年間で、エンジニアや設計者、オペレーターのほか、技術監督、産業オートメーション、サイバーセキュリティ、大規模インフラプロジェクト管理などの分野で数千人の専門人材が必要となる。また、建設現場ではピーク時に1万人の作業員が必要になる見込みだ。大学、研究機関、技術学校、関連企業が連携する人材育成体制の構築を進め、国際市場においてもポーランド企業や専門家のポテンシャル向上につなげる方針である。

原子力プロジェクトでは、数千件の契約締結や新たな能力開発、先端技術の移転、高度な技能を要する雇用などが見込まれ、ポーランドの産業発展の原動力となる。PPEJは、建設段階やその後の発電所の運営段階の両方で、同国企業の参画を最大化し、原子力発電の持続的な基盤を築くとともに、将来的な原子力プロジェクトの実施に向けて準備を整えていく考えを示している。

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