米ディープ・フィッション カンザス州の地下原子炉プロジェクトで25年間の電力供給契約を締結
04 Nov 2026
米国の新興原子力企業ディープ・フィッション(Deep Fission)社は10月20日、カンザス州パーソンズにあるグレートプレーンズ工業団地を所有する準自治体組織、グレートプレーンズ開発局(GPDA)と、25年間の拘束力のある電力購入基本契約(Master Energy Purchase Agreement)を締結したことを明らかにした。2025年12月に締結した意向表明書(LOI)を正式な契約に移行したもので、同社が米エネルギー省(DOE)の原子炉パイロットプログラムの対象として工業団地サイトで進める試験炉プロジェクトを、商用プロジェクトに転換する方針。
グレートプレーンズ工業団地は旧米陸軍弾薬工場の跡地に広がり、面積は14,000エーカー(約56km²)以上。鉄道アクセス、公共インフラが整備され、大規模な工業利用者向けの用地も確保されている。今回の契約では、初期段階として最大15万kWeの設備容量の営業運転を2028年9月までに開始。その後、工業団地内の電力需要の拡大に応じて段階的に規模を拡張し、2031年までに最大200万kWeの設置を想定している。GPDAは、ディープ・フィッション社から契約容量の範囲内で、最低購入義務なく電力を購入し、工業団地のテナントの需要に充てる。GPDAは購入義務を適格テナントに譲渡が可能とされている。
同社が開発する「Gravity」は、標準的な低濃縮ウラン燃料を使用するPWR(1.5万kWe)。地下約1マイル(約1.6km)、幅30インチ(約76cm)のボーリング孔に設置し、周囲の水柱や岩盤を利用して圧力制御、冷却、放射線遮蔽を行い、地上インフラの設置を大幅に削減するもの。2025年12月に、同工業団地で試験炉の起工式を開催した。今年8月には、DOEがGravityに関する原子力安全設計協定(NSDA)を承認し、原子炉の安全設計が次の開発段階に進むための基盤が整った。9月には、実物大の原子炉キャニスター(燃料未装荷)の設置・回収試験を実施。掘削業者が全長20フィート(約6m)の試作キャニスターを、直径34インチ(約86cm)のボアホールに約100フィート(約30m)降下・設置させ、地上へ回収した。掘削業界で使われている既存の機材で、地下への設置・回収が可能であることを実証した。なお、同炉を実際に商用展開にするにあたっては、米原子力規制委員会(NRC)から許認可の取得が必要となる。





