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フラマトム社の2020年決算、収益が3.1%下落

24 Feb 2021

HPC原子力発電所のタービン系建設工事の模様
©EDF Energy

仏国のフラマトム社は2月22日、2020会計年度(2020年12月31日まで)における決算報告を公表した。金利・税金・償却前利益(EBITDA)が合計5億6,100万ユーロ(約719億円)と対前年比で6.4%増加した一方、収益や受注高はともに前年実績を下回る結果になったことを明らかにしている。

2020年のEBITDAが拡大した理由は主に、様々なプロジェクトを円滑に遂行できたことやコストの削減で同社が努力を継続したことによる。2020年の受注高は総額28億6,900万ユーロ(約3,768億円)で、2019年実績の33億ユーロ(約4,230億円)から約13%下落したが、既存の原子力発電所や建設中原子炉に保守・エンジニアリング・サービスを提供する「設置基盤事業」、および「計測制御(I&C)系事業」に関しては、欧州や北米での活動が比較的堅調だったと指摘した。

収益も32億9,500万ユーロ(約4,224億円)と前年実績から3.1%の減少となったが、これは新型コロナウイルスによる感染の世界的拡大が同社の「設置基盤事業」部門と、いくつかの機器取り替えプロジェクトのスケジュールに大きく影響したためである。それでも同社はパンデミックの最中、これらの部門における作業量を顧客と調整しつつ継続。「設置基盤事業」部門では競争の激しい米国市場で実績が改善されたとしている。また、ブラジルで進められているアングラ原子力発電所3号機(140.5万kWのPWR)の建設プロジェクトでも、ドイツにある同社の製造拠点から引き続き機器類を納入したと述べた。

フラマトム社はまた、「計測制御(I&C)系事業」部門では、英国や東欧、米国における新規原子炉建設や既存炉の補修事業で活動が活発に継続したと説明。機器の製造プロセスや品質向上計画に対して同社が行った投資は、「プロジェクト・機器製造(PCM)事業」部門における蒸気発生器や重機器の品質向上に繋がったほか、英国のヒンクリーポイントC(HPC)原子力発電所(172万kWの欧州加圧水型炉:EPR×2基)建設プロジェクトと仏国内のフラマンビル3号機(165万kWのEPR)建設プロジェクトも、同部門の事業拡大に貢献した。

同社はこのほか、2020年は「原子燃料事業」部門における燃料集合体の生産が順調だったと表明。これらは主に、米国の原子力発電事業者や英国唯一の軽水炉であるサイズウェルB原子力発電所(125万kWのPWR)に納入したとしている。

(参照資料:フラマトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月24日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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