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米エネ省長官にジェニファー・グランホルム元ミシガン州知事が就任

01 Mar 2021

DOEのグランホルム長官©DOE

米エネルギー省(DOE)は2月25日、元ミシガン州知事のジェニファー・M.グランホルム氏が同省の第16代長官として議会上院で承認され、就任宣誓を行ったと発表した。DOE長官を務めた女性としては、B.クリントン政権時代のH.オレアリー長官に次いで2人目。

カナダからの移民であるグランホルム長官は、1984年にカリフォルニア大学(UC)バークレー校を卒業し、1987年にはハーバード大学の法科大学院を卒業。直ちにミシガン州の第6巡回区控訴裁判所で公務についており、1990年からはデトロイトで連邦検事、1994年には同州ウェイン郡の法人弁護士となった。1998年から2002年まで同州の司法長官、2003年から2011年まで同州の州知事を2期務めた後は、UCバークレー・公共政策大学院の特別栄誉実務教授として、クリーンエネルギーや法令、政策、産業などの問題を扱った。また、非営利の非政府組織であるピュー慈善信託では、クリーンエネルギー・プログラムのアドバイザーを務めていた。

就任に際してグランホルム長官は、「DOEには優秀な科学者やエンジニア、エネルギー政策のエキスパートが揃っており、DOEの責務である新たなクリーンエネルギー技術の開発や配備を進めるには最適だ」と指摘。このようなスタッフなら、J.バイデン政権が目標の一つに掲げる「2050年までにCO2排出量の実質ゼロ化」を達成し、米国の未来を保証することができるとした上で、「彼らとともに米国でクリーンエネルギー革命を始動し、関係する高給雇用を数百万人規模で創出、国中の労働者やコミュニティに利益をもたらしたい」と抱負を述べた。

同長官はまた、宣誓式後にビデオメッセージとDOEブログへの投稿文を公表。DOEの長官として、クリーンな電力を廉価で豊富に発電する技術を配備してクリーンエネルギー革命を進め、地球温暖化に取り組んでいく覚悟を明らかにした。

DOEの発表によると、同長官はミシガン州知事時代、リーマンショック後の世界的金融不況により自動車産業や製造部門の破たんを州内で経験したが、その対応策として、州経済の多様化を図るとともに自動車産業を強化、製造部門の維持とクリーンエネルギー部門の台頭を促した。今や、北米における電気自動車バッテリーの三分の一がミシガン州で生産されているほか、クリーンエネルギー関係の特許取得で同州は上位5州の一つとなった。さらに、新型コロナウイルスによる感染の拡大前は、12万6千人の州民がクリーンエネルギー関係の職に就いていたとDOEは強調している。

米原子力エネルギー協会(NEI)のM.コースニック理事長は同日、新長官の就任を歓迎すると表明した。「CO2排出量が一層少ない発電所の建設やクリーンエネルギー関係の雇用創出、経済の全面的な脱炭素化など、バイデン政権の地球温暖化防止プログラムを進めていく上で、グランホルム長官は極めて重要な役割を果たすだろう」と指摘。また、米国の確実な脱炭素化に向けて、原子力を含む無炭素エネルギーの価値が適切に評価されるよう協力していきたいと述べた。

(参照資料:DOENEIの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月26日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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