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チェコ、ドコバニⅡ期工事の入札でロシアを除外

20 Apr 2021

Government of the Czech Republic

チェコのK.ハブリーチェク副首相兼産業貿易大臣(=写真)は4月20日、ドコバニ原子力発電所Ⅱ期工事(5、6号機)の建設に向けて実施予定の入札から、ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社を除外すると発表した。

同国は実際の入札を行う前に、候補企業それぞれの詳細な安全・セキュリティ評価を実施する方針で、これまで同プロジェクトに関心を表明した5社のうち、中国の広核集団有限公司(CGN)を今年3月に除外。今後は残りのロスアトム社、韓国水力・原子力会社(KHNP)、フランス電力(EDF)、米国のウエスチングハウス(WH)社から詳細な企業情報を求めるとしていた。

しかしチェコ政府は今月17日、チェコの弾薬庫で2014年に2つの爆発事件が発生した際の状況が最近明らかになったとし、これらへの関与が疑われる情報機関の工作員としてロシア人外交官18名を国外に追放。その報復措置として、ロシア側もチェコの外交官20名を追放するという事態に発展している。

チェコのJ.ハマーチェク内相は「機密解除された情報をもっと十分に入手すべきだ」と述べたが、K.ハブリーチェク副首相兼産業貿易大臣は「野党が以前から要求していたことだが、我が国の情報機関も国家の安全保障に関わると危惧しており、ロスアトム社を数十億ユーロ規模の入札に参加させることはできない」と明言。A.バビシュ首相も18日、同社を除外すべきだと公言したことが伝えられている。

チェコ政府の決定についてロスアトム社は、「顧客が最良の技術を廉価で得られるよう、当社は公正な市場競争を強力に支えてきたが、今回の措置は市場競争を歪める政治的判断であり、双方に利益をもたらすはずの協力を阻害する」と指摘した。過去65年にわたるチェコとの原子力協力で、ロスアトム社は合計6基のロシア型PWR(VVER)をドコバニとテメリン2つの原子力発電所に提供。チェコのエネルギー供給保証を今日まで安全かつ効率的な方法で支援すると同時に、チェコの関係企業に対してはVVER機器の製造と供給の両面で貴重な知見を提供してきたと述べた。

ロスアトム社はまた、「両国の原子力産業界はチェコ国内のみならず、第三国の共同作業でともに利益を得る可能性があった」とし、その意味でチェコ政府が下した判断を残念に思うと表明。近代的で安全な原子力発電所建設の世界的リーダーとして、ロスアトム社は世界50か国以上で事業を展開中だが、契約上の義務事項はチェコ企業との契約も含めて全面的に履行している。「市場原理と公開競争に基づいて当社は事業を進めており、原子力協力は政治と無関係であるべきだと確信している」と強調した。

なお、チェコの規制当局は今年3月、ドコバニⅡ期工事として120万kWのPWR×2基の建設許可を発給した。最新スケジュールによると、今年12月まで候補企業の安全・セキュリティ評価を実施した後、チェコ政府は入札に招聘する企業のリストを承認する。その後、入札とサプライヤーとの交渉を実施し、2023年に最適なサプライヤーを選定。最終決定を経て2024年までにサプライヤーと契約を締結し、2029年に5号機を着工、2036年に同炉を起動するとしている。

(参照資料:チェコの副首相(チェコ語のTwitter)、チェコの公共ラジオ放送「Czech Radio」ロシア国営タス通信ロスアトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)

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