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米TVA、ブラウンズフェリー発電所の2回目の運転期間延長に向けパブコメ募集

08 Jun 2021

ブラウンズフェリー原子力発電所©TVA

米国のテネシー峡谷開発公社(TVA)は6月1日、保有するブラウンズフェリー原子力発電所(BFN)(約116万kWのBWR×3基)の2回目の運転期間延長に向けて、延長した場合の潜在的環境影響への取り組みを示す「環境影響声明書・補足文書(SEIS)」を準備するとの意向を表明した。

また同日から、この意向通知書(NOI)に対する一般からの意見募集も開始しており、TVAは「運転期間の延長に向けた活動を行わない(=運転延長はしない)」との選択肢もSEISの提案に含めたことを明らかにしている。

TVAは現在、米国内の2州で3サイト・7基の商業炉を保有・運転中。アラバマ州にあるこのBFNの3基に対しては、すでに2006年に原子力規制委員会(NRC)が初回の運転期間延長を許可。現在、1~3号機の運転期間はそれぞれ60年間に延長され、認可が満了するのは2033年と2034年、および2036年となっている。これら3基は通常、ほぼ定格出力で稼働しているため、TVAは将来的にもベースロード電源としてBFNが必要であると指摘。このことはTVAの2019年の統合資源計画(IRP)にも明記しており、これに基づき安定した電力供給やTVAが必要とする設備容量を維持する方針である。

TVAはまた、電力の供給エリアにおいては今後も、クリーンで信頼性が高く価格の安価な電力を十分供給する必要があると指摘。地元の電力会社と協力して顧客に安定的にサービスを提供していくには、運転認可を更新するなど既存の発電資産を最大限に活用すべきであり、BFNの無炭素電力によってTVAは、「2050年までにCO2排出量が実質ゼロの発電システムを構築する」という目標の達成も可能だと述べた。

これらのことからTVAは今回、SEISで次の4つの選択肢を提案。すなわち、①(運転期間延長などの)活動は一切行わない、②BFNで2回目の運転期間延長を行う、③既存のその他の発電設備を活用する、④既存の発電設備を活用するとともに新規の発電設備を建設する――である。TVAはまた、その他の選択肢として⑤BFNの発電容量をすべて再生可能エネルギーでリプレースする、⑥BFNの発電容量をすべて電力の購入で代替する――も検討したが、現時点では2つとも廃案にしたと説明している。

TVAはこれらの様々な選択肢について評価を行う考えで、そのため6月1日から7月1日までの期間、ネット等を通じてコメントを受け付ける。

(参照資料:TVAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)

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