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中国・台山1号機の小規模燃料破損についてEDFが見解表明 

26 Jul 2021

台山原子力発電所©CGN

世界初のフラマトム社製欧州加圧水型炉(EPR)として、中国で運転を開始した台山原子力発電所1号機(PWR、175万kW)で6月に小規模の燃料破損が生じたことについて、フランス電力(EDF)は7月22日、「同機が仏国で稼働中の原子炉であったら運転を停止していた」との見解を表明した。

仏国の商業炉をすべて保有・運転するEDFはフラマトム社株の75.5%を保有しているほか、台山原子力発電所の建設と運転を担当する「台山原子力発電合弁会社(TNPJVC)」には30%を出資。残り70%は中国広核集団有限公司(CGN)と広東省の電力会社が保有しているため、今回のEDFの見解は、関係するデータすべての提示を求めて同社が開催要請していた同日のTNPJVC臨時取締役会で述べたもの。

6月に米国のニュース専門チャンネルがこの件で「放射能漏れの懸念」を報じた際、中国の生態環境部(省)は「小規模の燃料破損は原子力発電所における一般的事象であり、同機は2018年12月の営業運転開始以降順調に稼働中。周辺環境にも異常はない」と強調。同省傘下の国家核安全局(NNSA)は、「1号機では6万本以上の燃料棒のうち、5本前後の被覆部に損傷が生じたと推定されるが、これは燃料棒全体の0.01%未満であり、燃料集合体で最大規模の損傷が生じる(設計時の)推定確率の0.25%よりはるかに低い」としていた。

EDFもこの当時、「(小規模の燃料破損により)一次系冷却水で特定の希ガス濃度が上昇することはよく知られた現象だ」と説明。原子炉の運転手続き上も想定済みのことだと述べていた。しかし、今回の発表でEDFは、「TNPJVCから提供されたデータを分析した結果、当社なら仏国の運転手続きに従って同機を一時的に停止した上で、状況を正確に把握し、これ以上の進展を阻止していた」と表明。同機では一部の燃料棒の被覆部が破損して非密封の状態になっていたため、熟練の専門家で構成されるEDFのチームはTNPJVCが提供したデータの中でも特に、一次冷却水の化学組成を注意深く分析。希ガスの濃度上昇が進んだ場合の影響などを評価した。

結果としてEDFは、「一次冷却水の希ガス濃度等は、同発電所に適用されている規制上の閾値を下回っていたものの、現状がさらに進展していることから引き続き監視が必要だ」と指摘。ただし、同発電所関係の決定はすべてTNPJVCにゆだねられており、同社がコントロールできるわけではないとしている。

(参照資料:EDFの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月23日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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