米NRC TVAのSMR建設許可を審査へ
18 Jul 2025
米原子力規制委員会(NRC)は7月9日、米テネシー峡谷開発公社(TVA)による小型モジュール炉(SMR)の建設許可申請を受理、審査を開始した。
TVAは5月、NRCにテネシー州オークリッジ近郊の同社クリンチリバー・サイトにGEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社製のSMR「BWRX-300」(BWR、30万kWe)の建設許可を申請した。BWRX-300がNRCによる建設許可の審査対象となったのは米国では初めて。TVAはクリンチリバー・サイトについて2019年12月、NRCよりSMR建設用地として事前サイト許可(ESP)を取得済みであり、BWRX-300の導入により、人工知能(AI)、量子コンピューティングなどに特化した電力供給を狙っている。NRCは審査の完了を2026年12月まで(17か月以内)と予想しており、TVAはNRCの審査期間中、早ければ2026年にもサイト準備作業を開始したい考えだ。
TVAのD. モールCEOは、「NRCによる申請の受理は、米国初となる電力会社主導によるSMRの実用化を目指す上で重要な一歩。当社のBWRX-300の建設許可申請が、米国初のNRCの審査対象となった。他の電力会社が同炉を導入し、エネルギー安全保障と信頼性の高い電力供給を実現する道筋を確立していく」と語った。
BWRX-300は、電気出力30万kWの次世代BWR。2014年にNRCから設計認証(DC)を取得した第3世代+(プラス)炉「ESBWR(高経済性・単純化BWR)」をベースにしている。カナダ原子力安全委員会(CNSC)は今年4月、OPG社に対し、ダーリントン新・原子力プロジェクト(DNNP)サイトにおけるBWRX-300の初号機の建設許可を発給。翌5月、オンタリオ州はDNNPサイトへのBWRX-300初号機の建設計画を承認した。2029年末までに営業運転の開始を予定している。