英SZCプロジェクト 燃料供給で契約
20 Oct 2025
英国で建設が進むサイズウェルC(SZC)原子力発電所プロジェクト(欧州加圧水型炉EPR-1750×2基、各172万kWe)を手掛けるサイズウェルC(SZC)社は10月12日、ウラン濃縮を手がける英ウレンコ社および仏の燃料製造大手フラマトム社と、長期燃料供給契約を締結したと発表した。運転開始に備え、燃料の安定調達に向けた重要な一歩となった。
ウレンコ社とのウラン濃縮サービス契約は、原子炉2基の運転開始から6年間を対象としており、運転初期段階の燃料供給を担う。英国北西部チェスター近郊カーペンハーストにあるウレンコ社の濃縮施設では現在約1,000人の熟練技術者が働いており、今回の契約が地域の雇用維持にもつながると見込まれている。
一方フラマトム社との契約は、発電所の運転開始時に必要な燃料とその後の定期的な燃料交換に使う分までを長期的に製造・供給する内容となっている。またフラマトム社は2023年11月、SZCを含む英国の原子力発電所向けに燃料を供給する計画の一環として、英国内での原子燃料製造施設の建設計画を発表している。燃料は当初、仏・ロマンの工場で製造されるが、英国の新施設が稼働すれば、将来的に国内生産に切り替わる見通しだ。
SZCの共同マネージングディレクターであるJ. パイク氏は、今回の契約が「英国のエネルギー安全保障と原子力サプライチェーンを強化する重要な節目」と強調した。
SZC発電所は、稼働後に最大600万世帯分の電力を60年以上にわたり供給できる見込みで、英国の電力システム全体で年間平均20億ポンド(約4,000億円)のコストが節約できると期待されている。建設のピーク時には約1万人の直接雇用を生み出し、サプライチェーンを含めると数万人規模の雇用創出が期待される。